「暖かい陽気になり吹き出物が出そうだったので、解毒作用のあるタンポポの根のお茶にしました」。ほかにも、むくんでいるなと思ったら小豆を煮出して飲み、冷えるなと感じたらショウガ茶を、という具合。「同じお茶を飲み続けることはないですね」。

お茶は一番手軽な“おくすりレシピ”です
左/むくみには「小豆茶」。小豆150gをたっぷりの水とともに強火にかけ、煮立ったらざるに上げて湯を切り、小豆に水を回しかけて鍋に戻す。水600mlを加えて強火にかけ、煮立ったら弱火にして20分煮る。水400mlを加えてさらに20分煮て、そのまま飲む。右/冷えには「ショウガ茶」。ショウガ20gをすりおろして鍋に入れ、黒コショウ、クローブ各5〜6粒を加えて水400mlを注ぎ、弱めの中火で5分ほど煮る。好みでハチミツを加えて飲む

 主食のご飯も体調に合わせる。女性は貧血になりがちなので、よく食べるのは「黒豆、ヒジキなど“血”を作る働きのある黒い食材」を炊き込んだご飯。疲れたときはカボチャを、むくんだときはトウモロコシを炊き込む。白米だけで食べることはあまりないそうだ。

普段、口にしている食材にも“治る力”を引き出す効果があります
【貧血に】ヒジキ・卵・タコ・ホウレン草 【むくみに】ハト麦・トウモロコシ・小豆・キュウリ 【便秘に】ハチミツ・サツマイモ・ゴマ・枝豆 【疲れに】カボチャ・鶏肉・山芋・ジャガイモ など

 食に対するコウさんの考え方は、料理研究家である母、李映林さんから学んだところが大きい。韓国出身の李映林さんには、中医学から独自に発展した韓医学の知識が身に付いており、日々の食卓には薬膳の考え方が取り入れられていた。「せきが出ているときには大根が、のどが痛いといったらレンコンが、その日のメニューに入っていました。体の不調が軽いうちに三度の食事やお茶でケアして、薬はあまりのまない。我が家では当たり前のことでした」。

 幼いころからよく口にしてきたのが、「ゆでキャベツの包みご飯」。胃が弱かったコウさんのために、胃腸の働きを整える作用のあるキャベツを母がゆでてくれた。「キャベツには、胃腸薬になっている成分『キャベジン』が入っています。薬膳の知恵が西洋医学でも裏付けられていることに驚きます」。

 薬膳と聞くと、特別な食材を使うことを想像するかもしれないが、「身近な野菜や肉などの食材にも効能があります。毎日の食事で体を整えて、不調を治す力を引き出せます」。

 年を重ねることで起きる体の変化を、日々の食事の積み重ねがゆるやかにしてくれる。身近にいる素敵な先輩女性を見ていると、そう信じられると話す。「母は、年を重ねても体にも心にも潤いがあって、活動的。いまだに老眼ではないんですよ」。

 2014年からコウさんは、本格的に薬膳を学ぶため学校に通っている。自然に身に付いた食べ方の意味が、よく理解できるという。そんなコウさんに、女性に多い不調の症状別に、身近な食材で作りおきできるおかずを教わった。どれもコウさんがよく作っているものだ。