コーヒーの9の健康効果

1. UVから肌を守りシミをできにくくする

 コーヒーのクロロゲン酸は強い抗酸化作用を持つ。紫外線を浴びることで、皮膚の色素細胞が過剰な色素を作るが、クロロゲン酸が活性酸素の働きを抑制し、色素沈着を防ぐ。そのため、シミができにくい肌になる。

2. 肝臓を守る

 肝臓に中性脂肪が蓄積するのを防ぐ。日本人を対象とした研究で、コーヒーを毎日2~3杯飲む習慣がある人は、飲まない人に比べて、脂肪肝の発症リスクが低かった。また、1日3〜4杯飲む人は飲まない人に比べて肝臓がんの発症率が1/2以下だった。ほかにも、肝機能改善、肝硬変を予防するという報告がある。

 脂肪肝のない男性492人を対象に、99年から04年の5年間で脂肪肝が発生した164人と発生しなかった328人とで、コーヒーの飲量を比較。結果、脂肪肝になった人は5年間でコーヒーを飲む量が有意に減少していることが分かった。(データ:三越厚生事業団三越診療所・船津和夫医師)

3. 糖尿病のリスクが低下

 インスリン感受性を改善して、糖尿病のリスクを下げる。コーヒーを1日4~5杯飲む人は飲まない人に比べて、2型糖尿病のリスクが最大58%まで下がるという疫学調査報告がある。また、この効果はカフェインを抜いたインスタントコーヒー(デカフェ)でも認められている。

4. 血液をサラサラにして動脈硬化を予防

 ポリフェノールが強い抗酸化力を発揮し、LDL(悪玉)コレステロールの増加を防ぐ。HDL(善玉)コレステロールが微増したという報告もある。また、ニコチン酸は血栓を溶かす作用をサポートし、血液をサラサラに保つ。

5. 認知症を予防する

 動物実験において、クロロゲン酸は脳内の血糖値を抑制し、エネルギー代謝を高める作用が確認されている。また、神経細胞を保護する作用もあり、こうした働きから認知症予防に役立つと考えられている。

6. ストレスを和らげる

 コーヒーを飲むと、飲む前に比べてストレスレベルが緩和したという報告がある。また、コーヒーの芳香成分はリラックスを促す。ドリップコーヒーの香りをかいで脳のα波が増加したという報告もある。

7. 子宮体がんを予防する

 子宮体がんも防ぐようだ。子宮体がんのリスクはコーヒーを週2日以下しか飲まないグループに比べて、1日1~2杯飲むグループを3杯以上飲むグループでは低いという疫学研究の報告がある。

8. 脳卒中・虚血性心疾患の発症が少ない

 コーヒーに含まれる抗酸化成分が作用を発揮し、血管を傷つける活性酸素の働きを抑制するほか、動脈硬化や血栓などを防ぐためと考えられている。15年に日本人を対象とした大規模な疫学調査でも報告された。

 日本人を対象とした多目的コホート研究による報告。コーヒーを1日に2杯以上飲む群、1杯以上飲む群、週に3〜6回飲む群は、コーヒーをまったく飲まない群に比べて、循環器疾患の発症リスクが明らかに低かった。(データ:国立がん研究センター がん予防・検診研究センター)

9. 内臓脂肪を減らす

 カフェインは脂肪分解酵素を活性化し、血行を促して代謝を上げる。また、クロロゲン酸は食事で取り込む脂肪の燃焼を促し、内臓脂肪を減らす効果が確認されている。

この人に聞きました
岡 希太郎
岡 希太郎さん
東京薬科大学名誉教授 薬学博士
1941年生まれ、東京都出身。日本コーヒー文化学会常任理事。コーヒー成分を研究し健康効果を、追求。著書に『がんになりたくなければボケたくなければ毎日コーヒーを飲みなさい。』(集英社)、『珈琲一杯の元気』(医薬経済社)など多数。

取材・文/高橋晴美 写真/鈴木正美 スタイリング/タカハシユキ

日経ヘルス2016年4月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります

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