「健康のために油はとりすぎないほうがいい」として、とにかく油を減らそうとしたのは過去の話。むしろ「いい油は積極的にとる」が今の常識です。さらに、いい油の定義が変わり、悪い油の代表だった動物性脂肪でさえ見直されています。

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 かつて油といえば「太る」「体に悪い」というイメージが強かった。特に動物性の脂肪が悪いと考えられ、今でも健康のために肉を控えたり、牛乳は低脂肪を選ぶ人もいるだろう。しかし、実は動物性脂肪は体に悪くないことが分かってきた。「動物性脂肪を多く摂取している人のほうが脳卒中が少ないというデータがある」というのは、金城学院大学消費生活科学研究所客員研究員の奥山治美さん。

 脂質の摂取量に関する国の基準も見直されている。「日本人の食事摂取基準」2010年版では30代以上の女性の脂肪エネルギー(1日の摂取エネルギーのうち脂質が占める割合)の上限が25%だったが、2015年版では30%に引き上げられた。一方、油の仲間で卵に多く含まれるコレステロールについては、摂取しても血中のコレステロール値に無関係と、目標量(上限)が撤廃された。

 控えるべき油も明確になってきた。マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸は「動脈硬化や認知症のリスクを上げるので摂取は控えるほうがいい」(品川イーストワンメディカルクリニック理事長の板倉弘重さん)存在に。この機会に油の“常識”をアップデートしよう。

バターに多い飽和脂肪酸の摂取が多い人ほど脳梗塞による死亡リスクが低い
(データ:Am J Clin Nutr.;92,759-765,2010)

40〜79歳の日本人男女約5万8000人を14.1年間追跡した。飽和脂肪酸の摂取量で5群に分け、脳梗塞、心筋梗塞など循環器疾患との関連を調べた。結果、飽和脂肪酸の摂取量が多いほど脳梗塞による死亡リスクは減少。心筋梗塞では飽和脂肪酸との関連が見られなかった。