油の新常識クイズ!

まずはクイズに挑戦してみて。え、そうだったの!?と意外に思うような回答もあるかもしれないが、それが新常識。

Q1.肉などの動物性脂肪はサラダ油などの植物油脂より健康に悪い

A.×【読者正答率 62.1%】
体内に存在する油の比率が健康にかかわることが分かってきている。油を構成する脂肪酸の中でも「リノール酸(n-6系)を過剰にとると皮膚などに炎症が起きやすい」(奥山さん)。n-6系は肉よりもサラダ油などに多く、植物油ならいいとは限らない。


Q2.悪い油をとっていても、アマニ油などのいい油をそれ以上にとればいい

A.×【読者正答率 92.9%】
“いい油”とはいってもやはり油は高カロリーで、1g9kcal。「n-3系でも必要以上にとり過ぎたら体脂肪になる。総量で考えるべき」(東北大学農学部教授の池田郁男さん)。“いい油”をとったらその分、別の油を減らす。「追加」ではなく「置き換え」が大切だ。


Q3.卵はコレステロールが多いので毎日は食べないほうがいい

A.×【読者正答率 86.4%】
食品のコレステロールが体内のコレステロール値を上げるわけではない。「体内のコレステロールは1日の代謝量が常に2g程度で調整されるので、食品で摂取するほど体内の合成量が減る。健康な人なら1日に卵を6個食べてもいい」(医師の浜崎智仁さん)。


Q4.エゴマ油、アマニ油は加熱調理に使わないほうがいい

A.×【読者正答率 32.9%】
エゴマ油やアマニ油を加熱した際に「一番最初に消えるのはビタミンEなどの抗酸化成分。脂肪酸自体は最後まで酸化しにくい」(板倉さん)。200℃以上の加熱調理では煙やにおいが出たり引火の心配があったりするが、炒めものなどに使っても問題はない。


Q5.オリーブオイルなどの“いい油”も、とりすぎると体脂肪は増える

A.【読者正答率 85.0%】
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸(n-9系)は体内で主にエネルギーとなる。実は、オレイン酸は、人間の体内で作り出すことができる油なので、不足することはない。そのため、オリーブオイルを取りすぎると体脂肪として体内に蓄積する。


Q6.カツオやマグロにDHAが多いのは体内で作っているからだ

A.×【読者正答率 28.6%】
食べたエサが魚油の起源。「植物プランクトンはαリノレン酸を主に作りそれをオキアミなどの動物性プランクトンが食べてEPA・DHAを作る。オキアミなどを小魚が食べ、さらに大型の魚が食べる。そのうちに成分が濃縮される」(麻布大学教授の守口徹さん)。


Q7.古い油に含まれる過酸化脂質よりもマーガリンのトランス脂肪酸のほうがよくない

A.【読者正答率 47.9%】
過酸化脂質は体に悪いが実は体内にほとんど入らない。「人間には体に有害と感じるものを排出する機能がある。酸化しすぎた油は食べても腸で吸収されず、体外に排出される」(板倉さん)。一方、トランス脂肪酸は体内に入り、病気のリスクを上げる。


Q8.精製された油よりも食品に含まれている油のほうが体にいい

A.【読者正答率 65.7%】
精製された油からは、抗酸化成分などの体にいい成分のうち油に溶けにくいものが、精製の段階で除かれてしまう。一方、「動物や植物などの食品に含まれている脂肪酸は、組織の細胞の内部に含まれているので酸化しにくい」(板倉さん)という利点が。

【調査概要】読者正答率は、2015年7月1日〜15日に『日経ヘルス』および『日経ウーマンオンライン』の女性読者を対象にウェブで実施したアンケートの結果から作成。回答者は140人。平均年齢42.2歳。

この人たちに聞きました
浜崎智仁
浜崎智仁さん
富山城南温泉第二病院内科
医師。米国マサチューセッツ工科大学などに留学、千葉大学などを経て現職。富山大学名誉教授。著書に『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』(講談社)。

奥山治美
奥山治美さん
金城学院大学 消費生活科学研究所客員研究員
NGO日本食品油脂安全性協議会理事長。名古屋市立大学名誉教授。日本脂質栄養学会の創立に参画し初代会長。著書に『本当は危ない植物油』(角川書店)ほか。

板倉弘重
板倉弘重さん
品川イーストワンメディカルクリニック理事長
東京大学医学部卒業。茨城キリスト教大学生活科学部食物健康科学科教授などを経て現職。日本動脈硬化学会名誉会員、日本栄養・食糧学会名誉会員などを務める。

守口 徹
守口 徹さん
麻布大学生命・環境科学部 食品生命科学科教授
国立がんセンター研究所、東京大学薬学部に研究出向の後、同大学で博士号を取得。米国国立衛生研究所(NIH)で脂肪酸と脳機能に関して研究。2008年度から現職。

池田郁男
池田郁男教授
東北大学大学院 農学研究科
食品機能学、栄養生理学が専門。食品成分が脂質代謝、糖質代謝に及ぼす影響とその作用機序の解析を行う。共著に『現代の栄養化学』(三共出版)ほか。

取材・文/羽田 光(編集部)

日経ヘルス2015年9月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります

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