3つの心の疲れグセ

【1】イライラグセ

こんな人に多い
人に嫌われるのが怖くて 「ノー」と言えない
相手に期待しすぎる
自分と他人とを比較する

イライラのもとは、自己中心的な考え方
人に「よく見られたい」という気持ちから、無理に仕事を引き受けたり、飲み会の誘いを断れなかったり…。自分をコントロールできなくなり、心身共に疲れて周囲に当たってしまう。また、人に「こうしてほしい」と期待したのに、相手が思い通りに動いてくれなくて失望。「なぜできないのか」という気持ちがイライラに変わる。

◆解消アドバイス◆
「人を思い通りに動かそうと思わないこと。相手のペースを尊重すればイライラは減っていくはず」(枡野さん)。「イライラは相手への“期待”が裏切られることで起こるもの。相手に過剰な期待や「こうあるべき」という要求をしていないか見直してみましょう」(山口さん)


【2】不安グセ

こんな人に多い
「失敗したくない」と思っている
「こうあらねば」という思い込みが強い

初めは小さかった不安がどんどん膨らんでいく
「以前の失敗をまたやってしまうのでは」「リストラされたらどうしよう」…。不安や心配事があるのは生きている証拠。順風満帆に見える人だって不安を抱えている。そう受け止められればいいけれど、悪いほうへ悪いほうへと考えが進んでしまい、不安がどんどん膨らんでしまう。情報量が多すぎることも、不安をあおる要因に。

◆解消アドバイス◆
「先のことは、そのときになって考えればいい。闇は人を不安に導くので、夜はあれこれ考えず、穏やかに過ごしましょう」(枡野さん)。「自分が唯一コントロールできるのは「今」だけ。「今」を大切にして、やれることを精一杯やると、自然と不安もおさまるはず」(山口さん)


【3】うつうつ、もやもやグセ

こんな人に多い
自分に自信がない
「評価してほしい」と感じている
頭の切り替えが苦手

1つの思いにとらわれて動けなくなっている
「この仕事で失敗したらおしまい」などと、いつもびくびく。緊張の連続で、心が休まるときがない。仕事で評価されないと、全人格を否定されたようになり、「なぜ認めてもらえないのか」とうつうつとした気分になってしまう。成果が出せないと落ち込み、気分がふさぎ込んで、そのまま浮上できなくなる。

◆解消アドバイス◆
「評価を気にするよりも、小さなことでも最後までやり切るクセをつける。やり切れば自信になり、その積み重ねが実績になります」(枡野さん)。「ウツウツは解放されていない気持ちがたまっている証拠。友達と話す、映画を見て号泣するなど緊張を解く時間を持って」(山口さん)

この人たちに聞きました
枡野俊明
枡野俊明さん
建功寺 住職
曹洞宗徳雄山建功寺住職。禅僧、庭園デザイナーとして活躍。『不安の9割は消せる』(世界文化社)、『生きるのがラクになる椅子坐禅: 今日から始める禅的朝活』(小学館)、『心配事の9割はおこらない』(三笠書房)ほか著書多数

山口まみ
山口まみさん
心理学博士
「ニュージーランド国立オタゴ大学で心理学博士号を取得。帰国後、Office Museを立ち上げ、 ポジティブライフコンサルタントとして活動中。著書に『あなたの『隠れネガティブ』を解消する本(』三笠書房) と「変われない自分を変える新しい思考の習慣(同文館出版)」がある。

取材・文/奈良貴子、写真/PIXTA

日経WOMAN2015年3月号掲載記事を転載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります