シーン別マナー

彼氏の実家

 彼の実家を訪問するのも緊張するシーン。印象をアップさせるのが手土産。「まず、彼から両親の情報を得ましょう。“好きな料理のジャンルは何?”“ケーキは好き?”など、具体的に聞くのです。その上で、3000円程度の手土産を準備しましょう」(近藤さん)。当日は、「甘いものがお好きだと聞いたので」などと、選んだ理由を伝えながらお渡しすれば、「気にかけてくれたのだ」と喜んでもらえるはず。

上司の自宅

 まず、上司宅に呼ばれたら断らずに喜んで伺おう。「予定があるので、行けません」と言うのではなく、「喜んで伺います」と伝えよう。「高価なものは相手の負担になるので、手土産は3000円程度を目安に選べばいいですね」。夫婦2人暮らしの上司なら、数の多過ぎる品物は×。日持ちする高級和菓子を少しだけ、という具合に、好みや家族構成に合わせて選びたい。社内で上司の家族構成や好みの食べ物をリサーチしておこう。

知人宅

 手土産などは「持ってこなくていい」と言われた場合、それは社交辞令。印象アップには手土産が必須です。実際に手ぶらで行くと、「気が利かない」と思われる場合もある。「手土産は、“ご招待”への感謝の気持ちを伝えるツール。バラの花数本のようなものでも用意して、『ほんの気持ちです』とお渡ししましょう」。また、生菓子は相手が用意している場合もあるので、なるべくそれ以外のものを。手土産は客間などに通されたらすぐに渡し、座る前に袋から出して両手で渡そう。

上司のお子さんにはお年玉ではなく、カルタやすごろく、図書券などを渡そう (C)PIXTA
上司のお子さんにはお年玉ではなく、カルタやすごろく、図書券などを渡そう (C)PIXTA

上司のお子さんへのお年玉

 上司のお子さんにお年玉は渡さないのが無難です。「たとえお年玉でも、“部下からお金はもらいたくない”という方もいるので、初訪問なら特に、渡さないほうがいいでしょう」。どうしても渡したい場合は、お金ではなく、子どもの年齢にもよるが、遊び心のあるカルタやすごろく、図書券などを選んでみて。

この人に聞きました
近藤珠實
近藤珠實さん
作法のプロ
「清紫会」新・作法学院学院長。77年に同学院を開設後、マナーや作法を伝え、和の心に通じた人材を育てている。執筆、テレビ、講演でも活躍。『日本の作法としきたり』(PHP研究所)など著書多数。

取材・文/ 辻 啓子

日経WOMAN2015年12月号掲載記事を転載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。