苦労人の女性たちに注目 雪辱に期待

 五輪には選手たちの人生ドラマがあります。もちろんどの選手にもそれぞれの物語がありますが、雪辱を期して臨む選手たちには、特に注目して見守りたいものです。

 スピードスケート女子の神谷衣理那選手は前回ソチ大会で派遣基準を満たしながら、メダルの期待がかかったチームパシュートのメンバー選出を優先する意向が働いて無念の落選となった選手です。

 国内選考会で女子500メートルの3位となり、一時は新聞にも「五輪確実」と書かれるほどだった神谷選手。しかし、「チームパシュートのメダル獲得を狙って1500メートルの選手を4人選ぶことに決定」「そのせいで日本選手団が10人という最大枠をオーバー」「女子500メートル&女子1000メートルの選手数を4人⇒3人に減らすことに」「その結果、500メートルで3位・1000メートルで4位だった神谷さんは、500メートル4位・1000メートル2位の選手に競り負けて落選」という非常に厳しい選考になったのです。その悔しさを今度の五輪ではぜひ晴らしてほしいもの。

 スノーボードの女子スロープスタイルとビッグエアの代表となった藤森由香さんは、以前はスノーボードクロスで出場していた選手。トリノ大会ではスノーボードクロスで7位入賞も果たしています。

 しかし、バンクーバー大会では公式練習中の転倒で頭部を打撲し、無念の棄権。ソチ大会では1回戦で転倒し、以降の試合に進めず。年齢も30歳を超え、体力的な厳しさも出てくる中で種目を変えてのイチからの再挑戦には、五輪出場にたどり着いただけでも頭が下がります。今度は転ばずに滑り切れますように。

 カーリング女子の藤澤五月選手は、4年前は中部電力チームで五輪出場にあと一歩まで迫っていました。自分たちのチームの活躍で五輪出場権を取りながら、国内選考会で北海道銀行チームに競り負けるという悔しい落選。勝負の一投でミスが続いた藤澤さんは、試合後に号泣しました。

 今回はロコ・ソラーレ北見チームに移籍しての再挑戦。国内選考会では中部電力チームとの決戦に臨み、4年前には共に戦った元チームメートに競り勝って五輪の切符をつかみ、歓喜の涙となりました。

 藤澤選手には、いつもハラハラドキドキさせられる魅力があります。真ん中にストーンを止めればいいという場面などでミスが出てしまうこともありますが、相手のストーンを2つ3つと弾き出すようなスーパーショットもたびたび見せてくれる選手。今回もきっとドラマチックな試合を見せてくれることでしょう。