菜那選手、マススタートでも金メダル
また、マススタートでも金メダルを取った菜那選手。マススタートは、順位ではなく獲得ポイントで勝敗が決まる競技。1周400メートルのスケートリンクを16周し、4周ごとの順位によってポイントが加算されていきます。しかし、ファイナルポイント(ゴール)での加算が大きいため、実際は一着でゴールした選手が優勝します。
菜那選手のレース運びは完璧でした。準決勝では、決勝進出に必要最低限のポイントだけを獲得して、レース自体は流して滑る省エネぶり。そして決勝では、優勝候補の選手を正確に見定めて、徹底してその選手だけをマークして最後の最後で抜き去りました。
目的を成し遂げるためにどうするかという高い戦略性は、菜那選手の持つ優れたチカラ。そのチカラが日本スケート界に「パシュートならメダルが狙える」という戦略を立てさせ、高木姉妹それぞれの覚醒につながってきたとしたら、今大会での大活躍は、菜那選手自身が生んだものだとも言えるのではないでしょうか。
選手として、姉として、高木美帆という大きな存在に潰されることなくここまでやってきた菜那選手あってこその「スケート大国・高木家」である。そのことが菜那選手の獲得した金二つによって、改めてメダルの数としても示されたことを、とてもうれしく思います。
文/フモフモ編集長 写真/JMPA代表撮影