お給料もらえるの?―「YES」 だけど…

 実際に、自分もこの業界に入ると、国内のNPO業界も、少しずつだが、活気を見せ始めていると実感する。また、しなやかで芯のある生き方をしている多くの女性との出会いに、恵まれた。民間企業での職歴ももちろん、NPOでの経験を生かしてさらにキャリアをステップアップするなど、ダイナミックな働き方をしている人もいる。

 日本で働き方改革が大々的に推進され始めてから数年がたち、女性の活躍推進、長時間労働、フレックスタイムなど、いろいろな側面から働き方について議論されている。定年までひとつの企業で勤め上げる終身雇用制度の崩壊もいわれているが、実際に転職を繰り返してキャリアアップする方法や生き方は、まだまだ日本ではイメージしにくい。

NPOでの経験を生かしてさらにキャリアをステップアップするなど、ダイナミックな働き方をしている人もいる (C)PIXTA
NPOでの経験を生かしてさらにキャリアをステップアップするなど、ダイナミックな働き方をしている人もいる (C)PIXTA

 NPOで働くことに興味はあるけれど、実際食べていけるのだろうか、と不安に思う人もいるだろう。冒頭の「お給料もらえるの?」について、私の回答は「YES」だ。当然、私も給与をもらえないと、生活が成り立たない。ただ、金額はNPOによって差があるのも確かだ。もちろん、その人が希望する生活水準にもよるが、私は前職の貯金もあるため、特別な不自由はなく、生活できている。ただ、貯金が何もない状態で、最初の仕事として働くのは、難しかったと思う。給与の面もそうだが、NPOの多くは人件費を抑えるために、即戦力としてすぐ活躍できる人を採用しなければならない。現在の勤務先に、社会人経験がないままでの就職は厳しかっただろう。

 いまだよく知られていないNPO業界、ノンプロフィット・セクターでキャリアを築いてきた女性たちの働き方には、自分らしい働き方を見つける為のヒントが隠されているかもしれない。 この連載では、そう気付かせてくれた、NPO業界の女性たちの「働き方」を追う。

文/大倉瑶子 写真/PIXTA