「給料は商社時代と比べると半分強ぐらいになった。ただ、昔と比べて娯楽が少し減るぐらいで生活には不自由しなかった。クロスフィールズでは、留職のようなプログラムを通じて、新たな仕事を生み出す経験ができた。また、企業・行政・NPOというそれぞれのセクターが社会において果たす役割を考える機会が増えた。その中でも、自分は企業(ビジネス)の役割について経験を深めて、価値を出せる人になりたい、という思いが強くなり、MBA留学を決断した」

 MBA留学は商社とNPOの両方を経験して見いだすことができた新たなステップだが、世界から集まる優秀な頭脳と切磋琢磨(せっさたくま)する中で、彼女自身の経験はどう生きているのだろうか。

 「民間企業とNPOの両方を経験したことで、自分と違うやり方や価値観があることを前提にして物事を見ることができるようになった。一つの業界・世界しか知らないと、その外にいる人たちへの寛容性を欠いてしまうこともあるように思う。お金をしっかり稼ぎたい、社会に貢献したい等、何を大事にして働くかは、その人次第。一つの価値観を押し付けずに、いろいろな物差しを持つことが大切だと思う」

ペンシルバニア大学ウォートンMBAの同級生と(左から2番目が嶋原さん)
ペンシルバニア大学ウォートンMBAの同級生と(左から2番目が嶋原さん)

 「雇用を創出し、人の生活を豊かにしたい」という大きな目標を持ち、働いてきた嶋原さんと話すことで、仕事はあくまでも手段であり、そのカタチや組織形態は多様であることを改めて感じた。

 嶋原さんは、卒業後、人が働く組織やそれらの事業をよりよいものにするという切り口から、課題解決に取り組むべく、民間のコンサルティング会社に就職予定だ。

文/大倉瑶子

編集履歴:本文一部を修正しました(2018年3月1日)