ソーシャルセクターで活動する44団体への実態調査によると、正職員の数は平均31人で、平均年収は383万円だ(新公益連盟 2017)。在宅勤務や週の出勤日の削減など、多様な働き方を認める人事施策が一般企業と比べても進んでいる点は、魅力的である。一方で、自発的な学習のサポートや社員の人事研修など、制度化されたトレーニングは、一般企業と比較すると不足している状況が、調査では明らかになっている。

 私自身も、現在NPOで働いていると、日々のプロジェクト業務で追われることが多く、スタッフの人材育成に十分な時間を取れていない状況だ。竹内さんが目にしている、NPOの人材獲得・育成の課題は手に取るように分かる。それでも、NPOに転職してよかったと思えるのは、日々の仕事のやりがいや、自分でなんでもやらなければならないからこそ実感できる、自身の成長だ。

NPOに転職してよかったのは、日々の仕事のやりがいと自分の成長 画像はイメージ(C)PIXTA

 採用のプロである竹内さんは、NPOで働く魅力は四つあるという。

 一つ目は、組織のミッションが明確であるので、やりがいを感じながら仕事に取り組めること。二つ目は、仕事の範囲は良くも悪くも改善できることばかりで、経営企画、助成金申請、データ分析、財務など、あらゆる分野で一気に経験を積むことができること。三つ目は、社会課題に対して同様の思いを持つ仲間と出会えること。覚悟を決めて入った人が集まっているため、共通の問題意識について思う存分語り合って考え抜く、貴重な機会がある。四つ目が、NPOだからこそできる社会課題の解決の可能性が広がっていること。直近では、休眠預金活用法、養子縁組あっせん法、こども宅食など、複数の重要な取り組みがソーシャルセクターの主導で実現している。

 インタビューを通して、人材紹介会社という立場にいる竹内さんだからこそ、異なるセクターの組織や人材のニーズを理解し、交流を仕掛けることができたのだと感じた。

 「志や思いを仕事につなげることは、とても大切だと感じています。ただ、大手企業から年収を数百万円も下げてNPOに転職することは、誰もができることではありません。『職員』だけではなく、企業ボランティアとしての『プロボノ』含め、いろいろな関わり方を提案し、ソーシャルセクターと人材の架け橋になれればと思っています」

 そう話す竹内さんは、これからもNPOと人材が互いにWin-Winになりつつ、社会課題の解決につながる仕組みづくりに、チャレンジしていくそうだ。

文/大倉瑶子 写真/PIXTA