こんにちは。著述・翻訳家の上野陽子です。平昌オリンピックでは日本の選手の大活躍に目が離せませんでした。日本のアスリートたちが、海外でどんなふうに報道されているか見ていきましょう。

羽生は世界的イベントの偉大なスター

 オリンピック金メダルで2連覇! 1948年サンモリッツ、1952年オスロの両オリンピック大会を制したディック・バトン選手以来で、実に66年ぶりのこと。見事な復活を遂げた羽生結弦選手ですが、昨年11月9日のNHK杯前日の公開練習で転倒。右足首をひねる形で着氷して、足首の靭帯損傷で静養を余儀なくされました。オリンピックシーズンのけがに、ファンはもちろん、多くの人たちが心配していたはず。果たしてどこまで調子を戻せるのか……。

 そんなオリンピックに臨めるかすら分からない状態の1月、ニューヨーク・タイムズはこんなふうに報道していました。

 「かつてない偉大なフィギュアスケーターは、くまのプーさんに囲まれた氷上のマイケル・ジャクソン」
 「羽生は他の追随を許さない存在であり、フィギュアスケートが脚光を浴びる一役を担っている」
 「欠場やベストを尽くせない状態では、世界的なイベントのチケットセールスも落ちるだろう」
 「オリンピックの偉大なスターの一人になるはずだ」

 卓越した技術と、さらに納得いくまで技を極めるストイックさが羽生選手の王者たるがゆえん。そのタレント性やルックスとは裏腹に、真剣にスケートに向き合っている選手です。ただ、オリンピックには収益がなければ運営は成り立たないシビアなビジネスの側面もあり、人気選手の登場は成功のカギの一つともいえます。ニューヨーク・タイムズは、羽生選手の類いまれな存在感について、有名なスケートブロガーの言葉を引用して「マイケル・ジャクソンをほうふつとさせる」と表現し、人を集められる「スター」の一人と形容していました。

 さらに関係者らも、アスリートとしての能力や存在を認めるコメントを寄せています。

 「フィギュアスケートにおいて、いまだかつてない完全なアスリートだ」(オリンピック銀メダリスト ステファン・ランビエール)
 「彼だけが持つ、特別なオーラがある」(伊藤みどり)

 アスリートが認めるアスリート。リハビリ中の羽生選手に寄せられたコメントは、その復活を心待ちにする人たちからのエールのようでもありました。

 そして、いよいよオリンピックでの復活劇です――。

平昌オリンピックでは見事な復活劇を見せてくれました 写真/JMPA代表撮影(佐貫直哉)