「やれる人」が「やれることを」の精神

 「本場アメリカのPTA」と一言で言っても、州や地域、私立か公立かによって、その内容は大きく違います。そして、全米PTA団体に加盟せずに、学校独自の運営をするPTO(Parent-Teacher Organization)という組織も存在します。

 この二つ、何が違うのかというと、PTAは全米の組織で、それぞれが州や国と連携して組織運営をしていきます。そのため、地区ごとの会議もあります。ところがPTOの多くは学校単位で活動をしていきます。同じような活動をするとしても半強制的な組織運営ではなく、むしろ全面的にボランティアで「やれる人が、やれることを」の精神が基本です。

 PTOなら、例えば、サンクスギビングにターキーを焼いていく、手作りは無理でもケータリングなら届けられる、休日に家でフライヤー(お知らせ)なら作れる、寄付金なら集められる……など、できる範囲でボランティアを申し出ます。もちろんうまく機能しないことも考えられるので、PTAとPTOの両方が存在する学校もあるようです。

【PTAとPTO】
PTA(Parent-Teacher Association)
 ―州や国と連携している全国組織。役員を選出して運営。

PTO(Parent-Teacher Organization)
 ―学校単位で活動する組織。ボランティアで「やれる人」が「やれること」をやる。

 時々耳にする「アメリカのPTAはこんなに楽ちん!」みたいな話は、PTOのことが多そうです。PTAに関しては、アメリカでも誰もがなんとかしたいという思いが感じられます。

 そんな不満を持つPTAのファンドレイザー(資金調達係)が書いた他の親宛てのお知らせについて、CNNが報道したことがありました。このお知らせに誰もが興味を持った理由は、PTAの労働対価を寄付金換算した、本音まじりのジョークだったからです。

PTAの労働対価を、ユーモアで金額換算

 CNNで報道された、アメリカのPTA役員さんのお知らせの一部です。あくまでもユーモアではありますが、かいつまむと次のような感じです――。

 時間のかかる作業をせずに、本来の目的である「生徒と先生をサポートする」という目的を達成できるよう、PTAへの寄付でヘルプしてください。

ご協力に感謝します!

□$15 私はカップケーキなど作りたくありません。カップケーキ作りにかかるだろう費用を寄付します。
□$25 私は、ラッピングペーパーを同僚や友人に売りつけたくありません。これが、その分の寄付になります。
(中略)
□$100 心から「お手伝いしなくて済んだらいいなぁ」と思うので、$100で私の名前を忘れてください。
□$(好きな金額を記入) このフォームに記入する手間以外、何かを買うことも売ることもしないで済むことに感謝する意味で、この金額を寄付させていただきます。

 いろんな家庭の事情を考えると、寄付金で解決することには賛否両論ありました。でも、一つの選択肢とすることも考えられるのではないでしょうか。いろんな選択肢からできる方法を選べたら、みんながストレスなくボランティアでの参加もしやすくなりそうです。

 でも、もしPTAを廃止するとしたら……、この究極の選択にデメリットはあるのでしょうか?