「ギグエコノミー」で気軽に副業探し

 世界のあちこちで、同じように働き方の変化が起こっています。雇用拡大のためにワークシェアなどの方法が取られ、各国でさらに副業が盛んになってきているようです。

 例えばオーロラの国フィンランドでは一般的に有休4週間の他に、クリスマス休暇1週間、日常的には夕方5時退社で、自分の生活を大切にする……といった、私たちから見たら豊かなライフワークバランスです。もちろん、副業もOK。5時に退社したら、あとは自分の生活や趣味を大切にしてリフレッシュ。ウオーキングの趣味が高じて、フィットネスのインストラクターから、会社を興してしまう、なんてやり方もありました。北欧らしく、あくせくしない、ちょっとゆとりの副業術。私たちのこれからの働き方の参考にもなりそうです。

 一方、最近アメリカをはじめ世界で広がっているのが「ギグエコノミー」というやり方。「ギグ」とは「単発や短期の仕事」のこと。企業と雇用契約はしないままで、ネットを通じて仕事を個人で受けて、収入を得る形態です。クラウドソーシングとイメージは近いですが、これを正規の仕事を持ちながらやります。

 もともと広大なアメリカでは、都会のニューヨークやシカゴなどは別として、基本的には自動車社会。だから、在宅のまま会社からリモート(離れて)仕事ができる分野が受け入れやすいわけです。

 雑誌TIMEのサイトには「ギグエコノミーの仕事ベスト10」として、ギグの仕事形態で多くみられる職種のリストが掲載されていました。

ギグエコノミーの仕事ベスト10
職業/平均時給(1ドル=約107円で換算 2018年4月)
1.会計士……32ドル30セント(約3456円)
2.放送・音楽技術者……20ドル9セント(約2236円)
3.大工……20ドル24セント(約2166円) 
4.配送トラック運転手……13ドル34セント(約1427円)
5.通訳・翻訳業……21ドル24セント(約2273円)
6.マネージメント・アナリスト……39ドル10セント(約4184円)
7.マルチメディア・アーティスト(デザイナーやクリエイター)……30ドル76セント(約3291円)
8.職業セラピスト……38ドル54セント(約4124円)
9.ソフトウェア開発者……48ドル41セント(約5180円)
10.ウェブ制作者……31ドル23セント(約3342円)
*CareerCast’s top 10 jobs for the gig economy

 お仕事探しのサイトなどを参考に、自分の得意分野や好きなことを見つければ、趣味と実益を兼ねてお財布が潤いそう。これからは日本でも、本職も副業も、海外のように在宅やリモートで仕事をこなしていく人も増えていきそうですね。では、私たちは具体的にどんなことができるのでしょうか。

得意なこと、やりたいことで稼ぎたい!

 副業に関しては、「稼げる! 自分に合った副業が必ず見つかる! 副業図鑑」という本も販売されていました。その表紙に書かれたのは……ネットオークション、レンタル友人、きき酒師、パズル作業、占い師……と、少数派のお仕事。でも、こういう視点もあるのかといった参考の仕方もできそうです。

 現実的に需要が多いのは、パソコンや携帯を使った副業です。例えば書類や名刺などの文字をデータ入力する在宅ワーク。最近では活字をデータに変換できるOCRなどの機能で少しずつ需要が減ってはいます。でも、企業のメールマガジン作成などのライターのお仕事も含めて入力作業はまだ多いようでした。

 そして、先ほども触れたクラウドソーシングの人気は高まっています。これは、企業ほかが外部に委託したい仕事を、ネットを介して、登録した複数の人たちが請け負うことができるもの。簡単にいえば、登録ワーカーへの「お仕事受発注サイト」といったイメージでしょうか。ネットで検索をすれば、複数の企業が出てきます。

 日本でも、プログラミングやウェブデザイン、翻訳などスキルが必要なものから、アンケート集計やデータチェック、テープ起こしといった定型作業も見られます。タイミングによっては、イラストの描画や占いコンテンツの執筆といったクリエーティブな仕事も需要があるようです。登録をしておけば、パソコンを使った在宅ワークは副業の糧になりそうです。

クラウドソーシングの人気は高まっています (C)PIXTA
クラウドソーシングの人気は高まっています (C)PIXTA

 でも、やっぱり王道は、自分の趣味や得意なことから派生して考えていくもの。これが一番潤いのある副業術ですね。副業時代に大きく踏み出した企業もあれば、中には二の足を踏む企業も見られます。でも、副業解禁の傾向は確かです。一人ひとりがまず考えてみるべきことは……

 自分が得意なこと、やりたいことは何か?

 そして気軽にバイト感覚から始めて、少しずつ軌道に乗せていく……この時代の変化を上手にとらえれば、夢も膨らみそうです。

文/上野陽子 写真/PIXTA

【参考資料】
厚生労働省サイト, 副業・兼業
政府刊行物, 全国管報販売共同組合サイト
TIME, The 10 Best 'Gig Economy' jobs