2年近くにわたるフォローで、既存顧客の信頼を回復

――普段のスケジュールの管理は、どのようにしていますか?

 「手帳だと荷物になり、持ち歩くのを忘れることもあるため、もっぱらデジタル管理です。社内のスケジュール管理システムで、アポを取る目安の日を入力し、資料作成や事務作業の予定なども入れています。必要なときにはスマホから予定を確認できるので、持ち歩くものが減って便利ですね」

スケジュール

【T・Nさんの1日の平均的なスケジュール】
09:30 出社(直行の場合もあり)
10:00 1件目訪問
12:00 昼食
13:00 2件目訪問
15:00 3件目訪問
17:00 社内で事務処理
19:00 退社

――SEと営業とでは、仕事のやり方にどんな違いがありましたか? また、営業をやっていてよかったと思う時は、どんな時でしょうか。

 「SE時代には、自分から提案したり、お客様の今後の計画をヒアリングしたりといったことがなかったのですが、営業では、クライアントの中長期的な目標や戦略、担当者のミッションを踏まえて提案していきます。そのため、フットワークの軽さや交渉力・クロージング力などを身に付ける必要があったのですが、『今はこの対応が必要だ』と自分で分かるようになるまで、1年くらいかかりましたね。

コツをつかむまで1年かかりましたが「人見知りならではのメリットを最大限生かしています」 写真はイメージ (C)PIXTA
コツをつかむまで1年かかりましたが「人見知りならではのメリットを最大限生かしています」 写真はイメージ (C)PIXTA

 SEの時には、工数内でいかに正確かつ効率的に対応できるかが評価されましたが、営業ではそういった決まった業務内での技術を評価されるわけではない。失注続きの場合には、何に向かって努力しているのか分からなくなったこともあります。

 担当しているお客様の信頼を得た時は、本当にうれしかったですね。以前、引継ぎ案件として、前任の営業とSEの対応に不満を抱いているお客様の担当になったことがあるのですが、この時はお客様からの風当たりも強く、最初は信頼も全くない状態からのスタートでした。

 そのため、引き継ぎ直後からアクションを起こし、通常は営業が参加しない会議に参加させてもらうなどして、まずは顧客の開発状況を把握。SEの対応状況も随時確認し、対応不備によりクレームがあった場合には、会社としての対応をまとめた『改善提案書』を提示。SEが不在の場合には、私が代わりに問い合わせを受け、回答までの対応状況を追うことで、安心感を持っていただけるように努めました。

 このようなフォローを2年近く続けた結果、もともと金額が下がっていたSE単価のアップと、1年間の保守契約を締結していただくことができました。そして、『貴社に今後もシステムを見てもらいたい』と言っていただけるまでになったんです!」