職場の育休復帰第一号に、事務職でも休みづらい

――営業を経験した後、同じ職場で現在の事務職に就かれています。事務に転向したきっかけは何だったのでしょうか。

 「出産をきっかけとした配置転換です。当時、妊娠直前に事務スタッフが立て続けに退職し、人員補充がないまま、私が営業をやりつつ事務業務も引き受けていました。そして出産・育休を経て34歳で復職した時に、そのままの流れで事務職になったんです。

 大企業であれば、育休後の職種はある程度自分の希望で選択できるのかもしれませんが、中小企業や事業所単位の場合は、復帰後の職種はその時のタイミングに影響されると思います。私の場合は、自分が職場の育休復帰第一号。前例がなかったので、今後も同じような配置転換が行われるのかは分かりません」

スケジュール

【N・Eさんの営業時代の1日の平均的なスケジュール】

08:30 出社、メール対応、事務処理
12:00 昼食
13:00 外出、各学校への法人営業
16:00 個人カウンセリング、入学相談など
19:30 退社
※21:00までの遅番勤務あり
※残業は1~2時間程度

――「出産を経ても営業が続けられるか不安」という女性はたくさんいます。Nさんとしては、営業と子育ての両立は可能だと思いますか?

 「営業は、急なアポが入ると残業になることがあります。また、個人営業であれ法人営業であれ、『外部』との約束になるので、子どもの体調不良などでは休みづらい面はあると思います。

 ただ、事務だからといって休みやすいとは限りません。内勤をしていると、『いつもいて当たり前』の存在になってしまうので、そうなると逆に休みづらくなります。その点、営業は『社内にはいないもの』と思われているので、休みを取っても社内の迷惑にはなりづらい。例えば、ペアで動く営業スタイルであれば、直行直帰をすることもできて、両立しやすいかもしれません。

 今の事務の仕事は、時短勤務で手取りは減るのに仕事量は減らず、気苦労が絶えません。そのため、両立できるかどうかは、職種というよりは環境に左右される面も大きいと思います」

――営業職と事務職とでは、必要な能力に違いはありましたか?

 「営業は『自分主体』で働くことが求められ、事務は『他者主体』で働くことが求められると思います。自己主張が強く、自らが率先して動くタイプの人は、事務よりも営業が向いているのではないでしょうか。

 反対に相手のルールに合わせて動ける人は、事務が向いていると思います。特に教育業界の先生方は自己主張が強く、自分が正しいと思っていることを曲げない人が多いです。そのため、先生方のルールに合わせられることが、何よりも重要な素質です。

 私自身は、コツコツとルーティンワークをこなしたり、複数のことを同時進行したりすることが得意なので、先生や学生たちの要望を処理していく事務のほうが向いていると感じています」

スケジュール(現在)

【N・Eさんの現在の1日の平均的なスケジュール】

08:30 出社、メール対応、事務処理、受付対応
12:00 昼食
13:00 メール対応、受付対応、事務処理
18:00 退社
※月10日程度、保育園のお迎えギリギリの18:30まで残業
※時短勤務の場合は17:00退社