相手に分かる言葉を使う

 仕事で送るメールの件名は、ある特定の人だけが「あ! 私のためのメールだ」と思うように付けるべきです。そのためには、具体的な語句(固有名詞)を利用します。具体的であればあるほどいいと思われがちですが、相手の頭の辞書にない言葉を使っても相手はピンときません。

 たとえば、以下の件名で何の見積もりが届いたか分かりますか。

TH-49CX800のお見積もり

 おそらく、分かったのは一握りの人でしょう。つまり、具体的に書けばいいというわけでもないのです。実は、この件名に書いてあるのは、ある商品の型番です。分かる人には分かるでしょうが、分からない文字列のため目に留まらず見逃したり、何が納品されるか分からず怖くなってメールを消してしまう人がいるかもしれません。

 では、以下の件名はどうでしょう。

ビエラ49型のお見積もり

 人によっては「あ~あれか」と思われたかもしれません。でも、これでも分からない人がいるかもしれません。

 では最後です。

液晶テレビ(ビエラ)のお見積もり

 はい! ここまで来たら、液晶テレビ、ビエラの見積もりであることが分かるでしょう。情報を正しく伝えるためには、相手の頭の中にある言葉を理解する必要があります。その上で、相手が分かる語句を使うのです。

 日時や回数があれば、それらも盛り込んだ方がベターです。次の3つの件名を見てください。

(1)研修の会場変更について

(2)ビジネスメール研修の会場変更について

(3)ビジネスメール研修(3/18)の会場変更について

 (3)の件名は、開封する前にある程度、用件の予測がつくためよい件名だと言えます。イベントの名称はあまり覚えていなくても、日付だけ覚えている人もいます。同じようなイベントが複数回ある場合は、日時などが書いてある方がよいでしょう。

件名で相手の読み方をコントロールする

 件名の付け方には、さらにテクニックがあります。ズバリ「相手にしてほしい行動、自分が行う行動を書く」ということです。相手に確認をしてほしいなら「確認」、相談をするなら「相談」、報告をするなら「報告」というように、文字列を件名に含めるのです。

 そうすると、「相談」と書いてあるメールであれば、相手は「相談だから返事を書かないとなぁ」と思いながらメールを読むことになります。賢い送信者は、件名で相手の読み方をコントロールしているのです。

この連載は……

日本ビジネスメール協会代表理事の平野友朗さんが、働く女性から寄せられたメールにまつわる悩みにお答えする連載です。今よりさらにスマートなメールの返信で「この人と仕事がしたい」と思ってもらうようなアドバイスをしていただきます。毎週火曜日、連続6回の短期集中講座として公開しています。
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次回のお悩みは……

忙しくて返信が遅くなったり、このメールには少し返信しにくいなってときに、相手を不愉快にさせない対処法はありますか?メールの返信は早く返せば問題ないと思うのですが、最低でもどのくらいで返せばセーフなのでしょうか?