仕事をタスクに分解させるコツ

 「会議の報告書を作る」作業を例に考えてみましょう。

 新人に仕事を依頼する際、取り掛かる前に「期日までの計画表を作ること」「そのためのタスクを書き出すこと」を伝えます。その後、新人が持ってきた計画表に、タスクとして「パワーポイント作成:5時間」とだけ書いてあったとしましょう。実際にはパワーポイント作成前に、必要な元データを担当者から集める作業があり、期日から逆算すると、すぐに手配に動く必要があるかもしれません。

 そこで、タスクの分解が足りないことを、

 「報告資料の元データを集める必要があるよね?」
 「いつまでにデータがあれば間に合う?」
 「それだと、担当者には今日中に連絡したほうがいいね」

 と、問いかけながら教えていきます。

 仕事の完成形から逆算したときに、どの作業から着手する必要があり、どの作業は並行して進められるのか、ある程度は指導しないと新人は分からないと思います。「計画作成」と「タスク分解」を行動習慣にできれば、いつ何をすべきかの勘どころが身に付くので、徐々に自分で計画して動けるようになります。

 そうやって仕事のマネジメント方法を体得させることで、いずれは「先輩から任されていたこの仕事、進捗はこうなっています」「○月○日までに報告書をまとめたいので、今日確認してもらえますか?」と、逆に後輩が自分を管理してくれるようになりますよ。

「先輩、この書類できました」 (C) PIXTA
「先輩、この書類できました」 (C) PIXTA

 「締め切りを自己判断してしまう」という悩みも多いようですが、これは、「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」のタイミングを合意しておくことで解決できます。

 どこまで達成したらあなた(先輩)に声を掛け、何月何日に報告するのかを決めておくのです。まずは先輩側から、「◯月×日に時間を取るから、そこで進捗を報告してほしい」と指示を出し、慣れてきたらその日取りも後輩に決めてもらうといいでしょう。計画表を作って二人の共通の場所に貼ったり、毎朝確認するようにすれば、「今日は報告の日だな」と気付きやすくなります。