人を励まし、やる気を引き出す話し方の技術である「ペップトーク」。スポーツの世界で生まれた話術ですが、先輩から新人への声掛けにも応用できます。ただし、信頼関係が構築できていないと、イヤミに聞こえることもあるそう。今回はペップトークをする下地となる信頼関係のつくり方について、日本ペップトーク普及協会専務理事の浦上大輔さんに聞きました。


新人に「教わっていないからできません」と言われたら

 これまでお伝えしてきたように、ペップトークには4つのステップがあります。相手に寄り添う(1)受容、マイナスをプラスに転換する(2)承認、「してほしいこと」を伝える(3)行動、最後に背中を押す(4)激励です。

 さて、あなたが新人に仕事を任せたら「それは教わってないからできません」と言われたとします。何と言えば効果的なペップトークになるでしょうか。

「この仕事、ここからここまでお願いできる?」 (C)PIXTA

×間違ったペップトーク
 「教わってないからできないと思うよね。私もそうだった。でも、そういう逆境を乗り越えてこそ人は成長するんだよ。まずは四の五の言わずにやってみよう! 大丈夫、できるよ!」

○正しいペップトーク
 「確かに、教わってないことだからできないと感じるよね。私がこの仕事をあなたに任せたいのは、自分で調べてやり方を見つけるのも、仕事の大事な工程だからだよ。やってみて分からなければアドバイスするから、まずは一歩踏み出してみよう」

 間違った例は、一見「受容」「承認」「行動」「激励」の4ステップを踏んでいるように見えます。しかし、信頼関係を築けていない段階でこう言われたら、新人は自分の思っていることを理解してくれていないと感じてしまいます。

 「教わってないからできません」というのは、先輩の狙いと新人が求めていることが違っているために起こります。先輩側は「自分から積極的に仕事を覚えてほしい」と思っていたとしても、新人のほうは「覚えていない仕事を勝手に引き受けて間違えたら迷惑になってしまう」と思っているかもしれません。

 そこで、まずは「教わっていなくても、調べてやり方を見つけるのも大事」と明確に伝えてあげるのです。加えて、「どんな情報があったら挑戦できそう?」「どこまでは自分で分かってる?」と聞いて、新人が求めているものを具体的に探していくのもいいでしょう。