あなたにも、伸び伸びと生きるためのポジションがある

「一人ひとりの異なる価値観が、社会を面白くしています」
「一人ひとりの異なる価値観が、社会を面白くしています」

――同じ職場で働き続けても、自分が生きる場所を選べるでしょうか。

 例えば、若さやかわいさも重視される環境にいるとしたら、周囲のその価値観は自分には変えることができないと思うかもしれません。だったら、1日のうちの何分の1かはそこで過ごしつつ、残りの時間を使って自分のポジション・居場所を変えていくことができるのではありませんか。

 女性はよく「出世したいわけじゃない」と言いますが、自分のいたいと思うグループを自分の周りにつくれるように、そして自分を伸び伸びさせるように、必要ならポジションを得るということも、「女性が力を持って上に行く」ということだと考えています。

――女性が力を持てば、職場のセクハラ問題もなくなるんでしょうか。最近話題になっている「#MeToo」については、どう思いますか。

 企業の中で女性がポジションを得ると、それまではセクハラの被害を受ける側だったのが、セクハラを受けている誰かを見てしまう状態になってしまう場合があります。また、それを見過ごしてしまうこともあります。そうすると、女性自体が被害者でもあり加害者でもあるという立場になってしまうんです

 「#MeToo」は、女性が声を上げようという思いで広まっていきましたが、セクハラの問題というのは、声を上げたら上げたで傷つくし、声を上げずに黙ってしまったらそこでも傷つくという難しさがあります

 一つ確実に言えるのは、被害女性の側からだけ声を上げても、解決はしないということ。男女両方が社会を変えようとしないと。

自分の価値が分かれば生きやすくなる

――女性にとって、生きにくい社会だと思いますか?

 今、男女を問わず、「これを自分がやりたい、やったらお金になる、社会のためにもなる、だからやる」という姿勢で仕事をする人たちがどんどん社会に出てきていると感じています。「仕事は自分の生き方を実現するためのもの」という時代が来たとも思っています。

 私がこれまで仕事の柱の一つにしてきたのが、「IT×高齢者」でした。過疎地で高齢者が孤立することなく、周囲の人たちとコミュニケーションを図るためにITを利用したり、ITによって介護のサポートとなる商品を開発するなどの活動をしてきましたが、もう一つ、ここ1年ほど柱にしているのが「女性×リーダーシップ」です。

 アメリカの女性起業家・堀江愛利さんと共に、彼女の本拠地であるシリコンバレーで女性起業家とリーダー養成のためのプロジェクトを実施しています。そこで参加者の一人ひとりが突き詰めるのは、「自分は何者か、何をしたいのか、何の価値があるのか」というただそれだけ。そして3泊4日のプログラムを通して、どんな人にもそれぞれ違う価値があり、そこに優劣などないことにみんなが気付き、どんな人でも自信を持てるようになります。

 自分の価値に気付き、その価値観にフィットするかどうかに照らしてどんな仕事をしていくのかを判断すると、すごく生きやすくなることに、私自身もプロジェクトを通して気付かされました。