「女に生まれて、損も得もある」

――一人で気ままに生きたい女性が人生を楽しむ秘訣はありますか。

阿川 私も去年まで独り者だったわけですが、私のことで言うなら、年齢や地位が関係しない、素の自分でいられる場所を確保することですかね。私、51歳で初めてゴルフをやって夢中になったんですけど、最初は「グリーン」も「パー」も知らなかったんですよ。51歳なのに『新入生』。だからゴルフ友達の間では常に謙虚でいられたし、息子みたいな歳の人にも教えてもらって、ありがたやって感謝できた。いくつになっても「バカだな、お前は(笑)」って言われる、『新入生』みたいになれる場所さえ見つければ、若返ることができます。

 人間は、ある程度の年齢に達すると世の中で発見することが減るっていいますけど、そんなことはない。こんな所にこんな世界があったのか、ゴルフって自分の性格が露骨に出ちゃうんだとか、いろんな発見ができました。そういう場所を見つけることが、強いて言うなら秘訣かな。

ゲストに浅田真央さんを迎えて(3月24日放送)。「常に新しいものにチャレンジしていると、年を重ねてもずっと『謙虚』でいられます」 写真/毎日放送
ゲストに浅田真央さんを迎えて(3月24日放送)。「常に新しいものにチャレンジしていると、年を重ねてもずっと『謙虚』でいられます」 写真/毎日放送

――そんなふうに一人で人生を謳歌するにせよ、二人で人生を歩むにせよ、女性の人生にはいろんな喜びがありますよね。では阿川さん自身が女性に生まれてよかったと思えることって、なんでしょうか?

阿川 なんだろうなあ。うーん。えーと……。

――すみません、唐突な質問で。

阿川 「よかったと思える」が「意外と得した」ということだとするなら、まず大前提として「女が損」だとは思ってないんですよ。だって、女は職場で落ち込んだら男の人たちが心配してくれるけど、男が落ち込んでても多分ほっとかれるでしょ。その代わり、女が上司になったときに部下をどやしつけると「あのばばあ、ヒステリーだな」って言われちゃう。男はそうは思われない。

 だから損得は男女両方にあるんですけど、大事なのはそれを自覚して、損得をきちんと使い分けることじゃないですか。私は男のほうが長期的にものを見る力があるし、女のほうが細かいことに気が付く力があると思いますけど、そういう特性だって、持って生まれた損得の一つです。

 ただ、「女として取材してこい」と言われることには反発心を持ちました。「阿川として見てこい」なら分かるし、その阿川の中に生物学的な女の要素があるかといえば、まあ、ある。でも、その要素が女を代表しているかなんて分からない。ガールズトークもたまにはいいかなと思うけど、あんまり好きじゃないですしね。

 だから私、今、仕事で「女性の担当がいいですか、男性の担当のほうがいいですか」って聞かれても、分かんないんですよ。その人と気が合うかどうかがすべてですからね。……これで答えになってるかしら(笑)。

文/稲田豊史 写真/毎日放送

「サワコの朝」毎週土曜 7:30
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3月17日はムロツヨシさんがゲスト。3月31日は『春爛漫! 聞けば幸せになれるトークスペシャル』で未公開シーンをお届け。