(C)PIXTA
(C)PIXTA

 こんにちは。ファイナンシャルプランナーの加藤梨里です。

 前回の記事「『おひとりさま』を覚悟するなら貯蓄はいくら必要か」は、働く女性の方からのご相談の一例を通して、おひとりさまに向けて備えたいお金についてお話しました。

 第4回の今回は、シングル女性の「住宅購入」について考えていきたいと思います。

30歳シングル女性が「家」にこだわるワケ

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者) 加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者) 加藤梨里
保険会社、銀行、FP会社を経て独立開業。家計、保険などお金のセミナー、執筆、相談を行う。働く女性のライフプランと健康にも関心があり、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科特任助教も務める

 マイナス金利が導入され、長期固定型住宅ローン「フラット35」の2016年4月の適用金利が、年1.19%(借入期間21〜35年、融資率9割以下)と過去最低を更新するなど、住宅ローン金利の下落が続いています。

 住宅ローン金利低下のニュースが報じられるたびに、このチャンスにマイホームを購入したいというご相談は多くなります。シングルの女性のなかにも、住宅購入を検討する人が少なくありません。

 都内の病院で薬剤師として働くDさん(30歳)もその一人。勤務先に近い都心エリアで、月9.7万円のマンションに一人暮らしをしています。手取り月収は33万円で生活には比較的余裕がありますが、住居費が月収の約3割を占めていることを大きすぎると感じています。また、住宅ローンの金利が下がってきている今、このまま家賃を払い続けるよりも、「思い切ってマンションを買ってしまったほうがお得なのでは?」と思うようになりました。

 しかし、「独身女性が家を買うと結婚できなくなる」と言われるなど、世間ではシングル女性の住宅購入に後ろ向きなイメージもあります。そこで、果たしてマンションを買ってもよいものかと、相談に訪れました。

 Dさんになぜ今のような高い家賃の部屋を選んだのかを聞くと、「学生時代、同じ大学の先輩から交際を申し込まれ、断ったところ、その後ストーカーとして付きまとわれるようになったのがトラウマになっています」と答えてくれました。

 当時はオートロックのない家賃月5万円のアパートに住んでいましたが、怖くなって就職を機に引越し。オートロック、防犯カメラ、管理人付き、セキュリティ会社のサービスまで完備したマンションに移りました。その後は付きまとわれることはなくなったそうですが、セキュリティの条件を満たす部屋にこだわった結果、以前の2倍近い家賃になってしまったそうです。