(C)PIXTA
(C)PIXTA

 こんにちは。ファイナンシャルプランナーの加藤梨里です。

 前回の記事「シングル女性が家を買うのはいいの? ダメなの?」は、働く女性の方からのご相談の一例を通して、シングル女性の「住宅購入」についてお話しました。

 第5回の今回は、シングル女性の「保険」について考えていきたいと思います。

高額な保険はいらない?

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者) 加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者) 加藤梨里
保険会社、銀行、FP会社を経て独立開業。家計、保険などお金のセミナー、執筆、相談を行う。働く女性のライフプランと健康にも関心があり、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科特任助教も務める

 新年度が始まって1カ月余りが過ぎました。この春に就職や転職で新たなスタートを切った方も、ゴールデンウィークを終えて、新生活に慣れてきた頃ではないでしょうか。私も、4月にはいくつかの企業で新入社員研修の講師をさせていただく機会があり、改めてフレッシュな気持ちで仕事に臨まねば、と気を引き締めています。

 そんななか、ある製造大手の新入社員Eさん(24歳)が、私にこう聞いてきました。

 「保険って、入ったほうがいいんですか?」

 Eさんの会社には、複数の保険会社の営業担当が出入りしていました。この時期は新入社員にも積極的に声をかけているようで、Eさんもそのひとりでした。それまで保険のことなんて考えたこともなかったのですが、「若い人におすすめの保険がある」といわれ、「何か入っておいたほうがいいのかな?」と考え始めたそうです。

 「保険」とひとくちでいっても、さまざまな商品があります。大きく分類すると(1)万一のことがあったときに備える死亡保障、(2)病気やけがに備える医療保障、(3)資金を作るための貯蓄型の保険の3種類です。

 このうち、(1)の死亡保障は、終身保険、定期保険、収入保障保険などがこれにあたりますが、若いうちはあまり必要ありません。お葬式代のために200万〜300万円程度の保険があるとよい、という考えもありますが、死亡保障の主な目的は、自分が万が一亡くなったときに残された家族への生活保障ですから、独身のうちは優先度が低いのです。

 (3)の貯蓄型の保険は、個人年金保険、養老保険などです。収入から「天引き」で積み立てをできるのがメリットですが、新入社員の時期はまだお給料も高くなく、貯蓄をする余裕がない人もいます。若いうちから始めておくのが有利ではあるものの、それほど急いで検討すべきというわけでもありません。