マトリックスの指標を変えれば、ミスを減らせて時間ができる!

 先ほどのバケツの例えで言えば、ミスは小石を増やす要因です。やり直したり謝ったりといった小石の仕事は、ムダな労力と時間を費やすだけ。つまり、ミスを防ぐことは時間をつくることとも言えますね。

 でも、従来の優先順位のマトリックスでは、第一優先ゾーンに「ミス防止策」は入っていません。

これが従来の優先順位マトリックス。ミス防止策は「大事だけどそのうちやる」「いつかやるから」という認識で、緊急度が低いとされがち
これが従来の優先順位マトリックス。ミス防止策は「大事だけどそのうちやる」「いつかやるから」という認識で、緊急度が低いとされがち

 そこで提案したいのが、指標を変えるということ。一つ目を「すぐに着手できること」、二つ目を「すぐに効果が出ること」にすれば、ミス防止策は第一優先ゾーンに入ってきます。これを実践してミスを減らせば、スピードアップできるのはもちろんのこと、できた時間を大事な仕事に充てられるので、利益にもつながりますよ。

指標を変えたら、ミスも減り、成果も出しやすくなった!
指標を変えたら、ミスも減り、成果も出しやすくなった!
優先順位を正しく付けるポイント

◆キャパをバケツに、仕事を石に例えて考える
◆小さな石=雑用だけでバケツを満タンにしない
◆大きな石=大切な仕事は1日の数を設定する
◆優先順位を見極めるときは、数字を付けて順位を決める
◆マトリックスの指標を変えてミス防止!

やる子 「バケツの例え、分かりやすい! そうか、経費精算は小石、プレゼンは大きな石だったんですね……」

すずまり姉さん 「そういうこと。あ~たはかつての私のように、チャンスを逃したのよ」

やる子 「うぅ……。経費精算なんて、もっと別のときでもできたのに」

すずまり姉さん 「ま、教訓にしておくのね。……はい、ちょうどファミレス到着! あら、ずいぶん混んでいるわね。順番待ちリストに名前書かなくっちゃ。あ~たの名前で書いていい?」

やる子 「もちろん! あ、私が書きますよ」

すずまり姉さん 「いいの、気にしないで。ちゃんと『ハングリーやる子』って書いておくから」

やる子 「ちょっ……。そんなんしたら、店員さんに『2名でお待ちのハングリー様~』って呼ばれちゃうからダメです。そもそも、ハングリーって名字、どこの国の人なんですか!」

 そう言って、喜々とするすずまり姉さんを慌てて止め、自分の名前を書くハングリーやる子でした。それでは次回も、乞うご期待!

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA