なぜ、チャンスを生かせたのか?

――目の前にチャンスが来たら、やってみる。その繰り返しが今の小西さんをつくったんですね。

 実は、私が「女性としてのキャリア」を考える中で、最初に影響を受けたのは、ニューヨークの特派員だった、乳がんで亡くなったジャーナリストの千葉敦子さんという方です。当時、千葉さんが日本の女子高生に向けて書いたメッセージ「The sky is the limit」(原文は英語/和訳は「限界は天高くに」)を読んだときは、雷に打たれたような衝撃でした。

 「あなたは何にだってなれる」「自分の目標を高く掲げ、今できることから第一歩を踏み出すのです」「限界は天高くに、ということをいつも忘れずに」――彼女の力強い言葉に、女性の生き方にはこんな世界もあるのだと、気付かされました。海外の特派員になりたいと思ったのも彼女に憧れて……。諦めないで挑戦し続けることの大切さを教えてくれた大事な言葉です。

 もう一つ、「チャンスが来た時に即反応できるよう準備だけはちゃんとしておく」ということも、私の経験からお伝えしたいことです。

 「海外で働きたい」「新規事業を手掛けたい」「もっとクリエーティブな部門に異動したい」……何でも「やってみたい」と言うのは誰にでもできますが、本当にその実力に見合うだけの努力をしているかどうかが大事。

 語学や資格の勉強をしてみる、マーケットのリサーチをする、企画書を書いてみる。とにかく「今できること」から準備をしておく。

 すると、いざチャンスが巡って来た時に「はい、私、できます!」と自信を持って手を挙げられますよね。

そう、小西さんはチャンスに備えて準備をしていたから「手を挙げることができた」のです
そう、小西さんはチャンスに備えて準備をしていたから「手を挙げることができた」のです

がむしゃらに仕事に挑戦する30代も悪くない

 何より、そんな努力をきっとチャンスの神様は見ている。いつか巡ってくるんです。願えばかなうと言いますが、私は「強く願って準備するとかなう」と信じています。

 私がそうだったように、女性の30代は、いろんな声が聞こえてくる中でキャリアの選択に迷う時期だと思います。

 でも、がむしゃらに仕事にチャレンジする30代も悪くない。あの時頑張れた私がいたから今の私がいる。後になって、その努力の価値の大きさが分かるんです。

聞き手・文/宮本恵理子 写真/稲垣純也