規模が大きくなると多様な人が集まり、課題も生まれる

――何か新しいプロジェクトを始めようとするときに、メンバー間の意欲に温度差が生じることは、職場でもよくあることだと思います。その状況を打破したのが、本場のコーチにラクロスが何たるかを教わるという共通体験だったんですね。

 チームの雰囲気をまとめるには、皆が心から面白いと思うことが不可欠だと思うんです。本当に「これをやってみたい」と思わないと、人は動かない。だから、仲間を巻き込みたいときには、自分の情熱をアピールして「やりましょう!」と呼びかけるだけでは足りない。相手にもそう思わせる材料やきっかけをつくらないといけないのだと、この経験から私は学びました。

 私がどれだけの情熱を注いでいるかは、外国からやってきたコーチ二人にも伝わったようです。合宿の前後の滞在場所として私の実家に泊まっていただいたのですが、家の至る所にあふれるラクロスの資料の塊に驚いていました。

 カナダ人コーチのパティ・スコットさんが全員のクロスにメッセージを書いてくださったのですが、私のクロスには「Hard Work Pays Off」という一言が。つまり、「頑張っただけ報われる」。うれしかったですね。ちなみに、ややボケキャラでムードメーカーだった子に書かれたメッセージは「No problem!(大丈夫!)」。そのまんまでオッケー! ってこと(笑)。これは今でも当時のメンバーが集まった時に誰かが引っ張り出すネタで盛り上がりますね。

――規模が拡大していってからは順風満帆でしたか?

 部員が100人以上に増えてからは、大人数をまとめるだけのリーダーシップが問われるようになりました。会社も同じだと思いますが、組織の規模が大きくなると、いろんな人が集まってきます。

 私のような初期からガツガツやっているコアメンバーは化粧っ気もなく、日焼け止めさえほとんど塗らずに練習に明け暮れ、練習時間以外もあちこちラクロスのために走り回っているのですが、ロッカールームで顔に粉をはたき続ける子や、ハイヒールに高級ブランドのバッグをぶら下げてやってくる子、タバコを吸う子など、いろんなメンバーが入ってきたんです。

 内心、「ちょっとちゃうやろ」と思うけれど、ちゃんと練習して結果も出していれば、彼女たちを排除する理由もないわけですよね。それに、ヘビースモーカーだった子は意外にも走らせると早くて、試合に出すとめっちゃ活躍したりしますから(笑)。

 実際、そのメンバーで全日本選手権で優勝することもできましたしね。

――結果が求められる組織の中でよくあるのが、「やる気があるグループ」と「やる気のないグループ」とに分断してしまうという状況。近い雰囲気だったのでしょうか? だとすると、どう解決しましたか?