今やっている仕事はいつか必ず未来につながる

――それは……想像を絶する緊張状態だったと思います。そのときの経験は、今の小西さんにとってどんな意味がありますか?

 今の自分にすごくつながっていると思います。

 イラクの現地取材の滞在期間は3週間。私のミッションは、自衛隊が現地の市民生活にどう役立っているのかを伝えることでしたので、自衛隊の活動はもちろん、現地の女性や子どもたちが何に困っているのか、声を拾う取材もたくさんしました。

 緊迫する情勢の中、現地の空気を全身で感じながら、生の声に触れ、自衛隊の活動について間近で見た経験は、私のその後のキャリアにも大いに生かされました。

 イラク取材を最後の大仕事として終え、ロンドン赴任期間満了となって帰国した私は、その後、日本テレビに転籍し、政治部記者、キャスターとして挑戦するステージへと進みます。そして、ロンドン赴任時には想像もしていなかったコースでしたが、2017年の1月から5カ月間、防衛省担当記者という役目を頂くことになったのです。

報道フロアの小西さんのデスク。思い切って飛び込んだイラク取材の経験が、巡り巡って自分の未来の仕事につながった
報道フロアの小西さんのデスク。思い切って飛び込んだイラク取材の経験が、巡り巡って自分の未来の仕事につながった

 防衛省の取材に、イラクでの経験が生きたことは言うまでもありません。当時の情勢を自分の目と耳で見聞きしてきた実感を持って、防衛の最新事情について取材を進められることは私にとって大きな武器にもなり、取材先にも有益な情報として、私の経験をお伝えすることもできたのではないかと思っています。そして、この私の核ともなっている経験は、現在の時事解説の仕事にも生きています。

 諦めずに、飛び込んだ14年前の私の勇気に対しては、「それでよかった。それがこんなふうに今にもつながっているよ」と言いたいですね。

聞き手・文/宮本恵理子 写真/稲垣純也

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