忘れられない上司の言葉

 もう一人、同じ席にいた当時の部長、中山良夫さんは、ヒットメーカーとして社内でも知られる人物。部下からの信頼も厚く、現在はBS日テレの社長を務めています。おそるおそる「あの時、どうして私を起用したんですか?」と聞いてみました。すると、こんな答えが返ってきて。

 「当時の日本テレビのニュース番組には討論番組がなく、独自性のあるコーナーを根付かせていきたかった。我々は後発だから、司会役は『変な人』がいいと思った。コーナー名は『爆論!言わせてもらうぞ!』。『爆論』というタイトル通りの『カオス』を求めていた時、その触媒になってくれそうなのが小西美穂だと思った」

 自分では気付いていない強みを、周りの人が発見してくれることもあるのだと、つくづく感じましたね。当時は「無茶振り」と感じていたオファーも、実はいろんな面から検討された結果なのだと、今になって理解できます。

 そして、中山さんがニコッと笑って付け加えた言葉は忘れられません。

 「上司を信用しろってことだよ。できないやつに、大きな仕事はやらせるわけないんだから」って。

――身の丈以上のチャレンジを周りは支える準備があったと。実際に番組が始まってからはいかがでしたか?

 2005年4月、日本テレビのニュース番組として初めての討論コーナーに私は司会役としてデビューしました。

 伊集院光さんと政治評論家の中村慶一郎さんをレギュラー出演者に迎え、毎回5、6人の論客と円卓で激論するという、夕方時間帯のニュース番組としては画期的なコーナーでした。

 テーマは「靖国神社参拝」「国会議員の給与、待遇、特権」から「日本人のマナー」「美容整形の是非」までと幅広い。常連ゲストは、宮崎哲弥さん、河村たかしさん、荻原博子さん、平沢勝栄さん、長妻昭さん、水道橋博士さん。そうそうたる方々を仕切るのが、この私だったのです。

 「関西人ならではのツッコミをやるくらいの気持ちで、素の自分でやっていけばいいから。大丈夫、大丈夫」という二人の言葉を真に受けた私は、本当にその通りに、政治家だろうが著名な評論家だろうが、「それってどういうことですか?」「なぜですか?」「その説明だと一般の人は分かりません」などと納得いくまでズバズバ切り返し、素直な質問をぶつけていったんですね。ところが……放送の翌朝、想像しなかったような出来事が起きるんです……。

 続きは、9月21日に公開予定です。

聞き手・文/宮本恵理子 写真/稲垣純也

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