では、問題3で取り上げた「傷病手当金」について、くわしくみてみましょう。

傷病手当金をうけとるときの注意点

 傷病手当金は、勤務外での病気やケガで働けなくなり、十分にお給料をもらえなくなったときに支給されます。

 傷病手当金の支給が開始されるのは、「連続して」3日間会社を休んだあとの4日目からです。この「連続して」3日間というのがポイントです。途中で会社に行ってしまうと、給付が始まらないのです。

図4(待期期間の完成について)
図4(待期期間の完成について)

 連続して休んだ3日間には土日・祝日・有給休暇なども含めることができます。

 そして休業して4日目から支給が開始され、最長1年6ヶ月間受け取ることができます(医療機関の入院に限らず、自宅での療養でもOKです)。

 傷病手当金の支給額は「標準報酬日額」の2/3の金額です。 標準報酬日額は、支給日開始以前の12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30(日数)で割ったものです。

 休業中も会社からお給料が出ている場合は、傷病手当金よりも少なければ差額が支給されます。もし、お給料が傷病手当金よりも多い場合は支給されません。傷病手当金はあくまでも「生活を保障する」ための制度。十分な収入がある場合には支給されないのです。

本当に必要か 保険を見直してみよう

 このように、ケガや病気で収入が途絶えてしまっても、私たちの暮らしを保障してくれる国の制度があります。

 民間の傷害保険などに加入している方は、その保障が本当に必要かどうか、毎月の掛け金を支払うだけの保障があるのか…など、一度見直してみるのも良いかもしれません。

 気になる点は、健康保険の適用外である治療を受けなければならなくなったとき。たとえば、がんの先進医療などがそうですね。高い確率ではありませんが、高額な治療費を全額負担しなければならないこともあるかもしれません。不安に思う方は、民間の医療保険(がん保険など)に加入しても良いでしょう。

◆今後の予定(変更になる場合があります)
第 9回:家は買った方がいい? いつ考える?(7月20日)
第10回:都会と地方、どう違う?(8月3日)

 次回(7月20日)は、「家は買った方がいい? いつ考える?(仮)」をご紹介します。お楽しみに!

文/井戸 美枝 イラスト/いいあい 協力/瀧 健