女性の登用は「まとめて複数」がカギ

―― それを着実に実行されたんですね。

松本 14ある事業部のうち6事業部の責任者が女性になりました。

―― 一気に半分近くを占めるようになったとは。当の女性達は、抜てきされて昇進することにひるんだりはしなかったのでしょうか。

松本 他の女性が昇進しているのを見れば、「あの人ができるなら私にもできる」と思えるようになると思うんです。それで、なってみたら何てことはなかった、と。大事なのはね、1人だけしたらあかんということです。(米フェイスブックの最高執行責任者)シェリル・サンドバーグの著書(『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』)にもそういったことが書かれていたけれど、女性を1人だけ執行役員や取締役に引き上げるというのは、やり方としてはよくないでしょうね。

―― 女性を登用するなら複数を、ということですね。

松本 まとめてどばっと、何人か登用しちゃったほうがいい。

社内では女性が活躍し、会社の業績も伸び続ける

―― J&J在任中には会社の業績も伸びました。

松本 中核事業である医療機器分野では、在任中、年平均で売り上げは18.9%成長していました。利益も毎年29%増。退任時には、就任時と比べて売り上げは3.6倍、利益は数十倍に拡大していましたね。

―― そして、2009年にカルビーの会長兼CEOに就任されてからも業績が伸びていますね。

松本 過去2期(2013年3月期と2014年3月期)を見ると、カルビーの純利益は前年と比べて約30%成長しています。売り上げは8%くらいですが。

―― 高過ぎた製造原価を見直して、もうかる仕組みを作られたと聞きました。そうした事業構造の改革を行う一方、ダイバーシティも推進されています。女性の登用に関しては、時短勤務の女性を役員に登用したり、工場長に女性を抜てきしたりと、世間が驚くようなニュースがありました。

松本 就任時には5.9%だった女性管理職比率は、今は14.3%まで上がりました。当初の目標に対してちょっとペースが遅いですが。政府が目標として掲げる「2030」(2020年までに指導的立場の女性を30%に増やす)ね、私、あれで一番乗りしてやろうと思ってます。

<インタビューは、来週3月22日に公開予定の後編に続きます。どうぞお楽しみに>

日経DUAL2014年10月15日の編集長インタビュー記事から転載。
ライター/青木典子、撮影/鈴木愛子、編集協力/Integra Software Services


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