「スキル」よりも「スタイル」が大事

 リーダーになった途端、「さあ、自分のスキルを磨こう」と思う人は多いようです。ところが私がリーダーにとって大切だと思っているのは「スキル」より「スタイル」です。スキルは学べば身に付きます。「大きい」「高い」「多い」などというふうに優劣もつきやすく、競争してナンバーワンにもなれるものもあるでしょう。また、「専門性がある」と言い換えることもできます。

 ところがスタイルは一人ひとり異なるもので、優劣や正解はありません。「オンリーワンだ」とも、「一貫性がある」ともいえます。

 また、スキルは外部から自分の中に取り込むものですが、スタイルは自分自身にもとから備わっているものです。

 社会に出て組織の一員になると、人は得てして本当の自分を隠すようになります。しかし、スタイルを見つけるには、それとは逆で「自分自身をさらけ出す」作業が必要になります。

 私は今、企業のエグゼクティブ人材に対するコンサルティングを行っています。そこで分かったのですが、皆さんが自分のスタイルを見出だせるようになるまでには、だいたい3年がかかります。自分を本気で見つめるプロセスは時に苦しく、最初の2年くらいはモヤモヤした気持ちが続き、なかなか自分のスタイルを決められません。「自分にはこれができるし、あれもできる」と、ついスキル面ばかりにとらわれがちなのです。自分のスタイルを探すためには、「自分の良いところを出そう」というのではなく「自分は一体何にこだわっていて、何が好きで、何が嫌いなのか」を見つめる必要があります。

 そして不思議なことに、そのエグゼクティブ人材が自分自身をさらけ出すことができるようになると、それに応じて、その方の会社の売り上げも伸びていきます。自分のスタイルがあれば、逆境に見舞われても、必ず力を発揮できるようになるのです。

<後編は、中竹さんご自身がスタイルを見つけ、定着させていったエピソードを紹介します>

日経DUAL2016年2月25日連載「小室淑恵の 女性活躍推進のコツ、教えます」から転載。

ライター/西山美紀


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