「人間関係はいいですか?」

 ↓(言い換えると)

■「職場の皆さんと良好な人間関係を築くために、踏まえておくべき点はありますか? 実際、職場の雰囲気はどのような感じでしょう?」
■「できるだけ早く職場の雰囲気になじんで、積極的に働きたいと考えています。そのために必要なことは何でしょうか?」

 人間関係に関する質問は、聞き出すほうも答えるほうも難しいものです。何をもって「いい人間関係」とするのかが曖昧な上、どの立場でどこから見るのかによって、見え方も違います。

 「自分にとって『こういう人間関係だけは避けたい』というものがあれば、それをやんわり伝えてみるのも手。例えば、『以前の職場では、頻繁に飲み会をしている部署があったのですが、私は習い事や勉強の時間も取りたいため、あまりに頻度が多いと厳しいなと感じてしまいます。今回求人がある職場では、そうした集まりはどれくらいあるのでしょうか?』などと、聞いてみてはどうでしょう」

 また、働きやすさ、仕事の楽しさを左右するのが、上司との人間関係です。怒りの感情をぶつけてきたり、意地悪だったりと、難しいタイプはできるだけ避けたいもの。前もって聞き出す方法はある?

 「難しい問題ですが、もしもそうした人間関係が転職の大きな原因になっているのなら、不安は取り除いておきたいですよね。退職の理由を聞かれたタイミングで、『上司との折り合いがよくなかった』と伝えてみることで、避けることもできます」

 ただし、「伝え方には注意を払うべき」と錦戸さん。「愚痴ではなく、エピソード+どう対処したか」をしっかり伝えることが大事だと強調します。

 「そうでないと、トラブルが起きたときに対処できない人だと判断される可能性があります。『以前こういうことがあり、自分としてはこんなふうに働きかけてみたけれど、解決しなかった』と伝えた上で、『そうした悩みに振り回されると、仕事のパフォーマンスも下がってしまいます。今回求人がある職場にはそういう方はいらっしゃらないと思いますが、いかがでしょうか?』と、やんわり質問に持っていくという方法がいいのではないでしょうか」

「この先、給与は上がりますか?」

 ↓(言い換えると)

■「昇給を目指すには、どのような実績を上げればいいのでしょうか?」

 「あまりストレートに聞いてしまうのは、相手によっては印象がよくない可能性もあります。なので、どんな実績を上げればいいのか、何を期待されているかを聞いてみてはどうでしょう。その際に、まず自分ではどう考えるかを伝えてみると、より具体的な答えが返ってくるはずです。いかがですか? 聞きたいことを聞けるようになりそうでしょうか。普段の仕事や生活の中でも、意外と本当に知りたいことが聞けていないケースは多いものです。自分が本当に知りたいことは何か、その答えを引き出すために、どのような質問を投げかければよいか。こうした練習をしておくことで、普段の仕事や生活もきっと楽になりますよ」

 最終回となる次回は、「転職が不採用になったとき」のケース。不採用が怖くなくなる処方箋についてお伝えします。

文/西尾英子 写真/PIXTA