「海外で働きたい」という夢を転職で実現

 最初に転職の相談に訪れたとき、Aさんは社会人1年目の23歳。年間わずか3日しか休みが取れないというかなりブラックな労働環境の会社で体調を崩し、休職中だったという。

 「働く自信も意欲も無くしたAさんの希望は『事務で土日にお休みがあればそれでいい』というだけでした。僕はネガティブな理由での転職は今後を考えると好ましくないと思っているので、『将来何をしたいのか?』をかけてじっくりと聞き出すことにしました」(堀田さん)。

 堀田さんとさまざまな話をする中で、Aさんはふと「いつか海外でバリバリ働いてみたい」という言葉を漏らした。「でもまあ、無理ですよね」と付け足したAさんに、堀田さんは「行きましょうよ」と声をかけた。

「え? 海外への転職ですか?」 (C) PIXTA
「え? 海外への転職ですか?」 (C) PIXTA

 海外勤務経験もあった堀田さんは、3~5年計画で、課題を一つ一つクリアさせていけば、海外で働くことは不可能ではない、と話し、「今のあなたが海外で働く上で足りないのは、営業力と英語力」とアドバイス。

 Aさんには、営業力を培うことができる保険会社の営業職の仕事を紹介した。「海外拠点では、就労ビザ取得の関係もあり、社会的信用の高い業種、企業で働いた経験と、目に見える実績を持っていると強いのです。そこで、国内の金融機関で契約社員として働くことを勧めました」。堀田さんは、保険会社の人事担当者に、Aさんが海外勤務を志望していることを告げ、その会社で海外勤務がかなわなければ、転職する可能性もあることも了承を得ていたという。

 Aさんは保険会社の営業職として働きだした。堀田さんは、その間も継続的に連絡を取り、「常に海外で働くという夢を思い出してもらい、とにかく営業成績を上げ、英語の勉強をするようにと、励まし続けました」。Aさんは、営業職として目覚ましい活躍を上げ、英語も猛勉強。わずか2年ほどで、海外転職が可能なレベルまで到達し、25歳で国内で採用された後に、シンガポールでの事業立ち上げメンバーとして海外勤務という念願をかなえた。