実は入社2年目から転職を決意していた理由

 先輩デザイナーたちのモチベーションが低い大きな原因となっていたのは、デザイナーたちの雇用形態だった。この会社のデザイナーたちは、実は杏子さんを含め、全員が契約社員や派遣社員の非正規社員だったのだ。

 そのため、昇進や異動もない。「なぜそうなったのかは分かりませんが、同じ会社の中にいながら、半分外部のような存在だったのです」

 交通費も支給されていたが雇用保険は払われないなど、なんとも中途半端な存在。ヒット商品を出せば評価が上がって給与が増えるというものではなく、給与は常に一般社員の基本給と同じ程度。残業代やボーナスは出ないため、副業をしていた先輩デザイナーもいた。

 しかし、そうした事情は一般社員には知らされていなかったため、「他の部署の社員からは、同じような働き方をすることを求められ、なんとも複雑な心境でした」。

 こうしたもやもやとした思いと共に、同一メーカーの商品パッケージだけでなく、もっと多様な仕事をしたいという思いが相まって、実は、入社2年目くらいから転職を意識していたというのだ。

 ちょうどその頃、杏子さんは彼との結婚が決まる。杏子さんの転職活動はその後どう進んでいくのか……。来週に続く。

文/井上佐保子 写真/PIXTA

◆変更履歴:本文を一部修正しました。(2017年9月4日)

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