求人情報を探しつつ、仕事の合間を縫って、ポートフォリオを作成した。ポートフォリオとは、過去の制作物をまとめた作品集のようなもの。一般的な転職活動時に作成する職務経歴書に当たるものだ。その際、参考になったのが、同業のデザイナーたちからのアドバイスだった。

 「最初はクリアファイルに入れただけだったのですが、『クリアファイルは通らないよ』と言われて、慌てて製本したポートフォリオをつくりました」。このときに役立ったのが、外部のワークショップや勉強会に参加した際に知り合った同業の友人たちだった。「デザイナーの友人たちからは、デザイン事務所の評判から履歴書の写真の撮り方、面接時のファッションまで、さまざまな転職アドバイスをもらえて、とても助かりました」と話す。

 ポートフォリオも準備し、これはと思う求人を見つけては応募していた杏子さんだったが、やはり新しいジャンルの仕事はなかなか決まらなかったという。そうした中で、パッケージデザインの仕事ではあったが、少し気になったので応募してみた。それが、今勤めている会社だ。

 「応募してみたら、『郵送でポートフォリオを送ってください』とさらっとメールで返事が来たのです。これまでの転職活動では、ポートフォリオに使う紙の質などにもこだわって、現物を送って応募していたのですが、このときは転職活動を応援してくれていた夫が『とにかく早く送ったほうがいい』と言うので、急いで準備して、メールでポートフォリオのデータを送り返してみました。すると、これまたすぐに『面接に来てほしい』という連絡が入ったのです」