前職とは全く違う、小さなデザイン事務所
実物のポートフォリオを持参して面接に赴くと、営業担当が社長ともう一人、あとはデザイナーが約10人という小さなデザイン事務所だった。
パッケージデザインだけでなく、広告や販売方法を含めた提案によりヒット商品を生み出すなど、多くのクライアントを抱えていた。杏子さんは「残業もそこまで多くなく、結婚している私も仕事と家庭を両立しやすそうだと感じました。社長もとてもいい方で、『お給料も前職より上げますよ』と言ってくれたので、こちらに決めました」
この事務所では、定年などで辞めたデザイナーが複数いたために、5年ぶりに募集を行ったということで、杏子さんと共にもう一人が採用されたという。
40代になっても続けられるキャリアを探して
「デザイン事務所によっては、若いデザイナーを酷使して使い捨てにするようなところもあるのですが、今の事務所には40代以上の社員もいますし、何より定年まで働いた人がいるというのは心強いですね。私も長く働けそうだなと、そこに魅力を感じました。
結婚して30代を迎えて、妊娠や出産についても考え始めています。そうしたライフイベントをふまえて自分のキャリアを考えると、長く働き続けられそうな職場を選びたいなと思いました。今は、イラストを描くなど、新たな仕事にも挑戦できて楽しいです」と話す杏子さんは、30代の転職に満足げだった。
文/井上佐保子 写真/PIXTA