給与などの条件があいまいになるケースも

 もちろん、デメリットもあります。

 職場の元上司や元同僚、知人などからの紹介の場合、給与や勤務条件などについて聞きづらく、また交渉もしにくいので、入ってから「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあるでしょう。
 「あなたにぴったりの仕事だから」「とにかくついてきてくれ」など、紹介者の熱烈な言葉を信じて転職したところ、実際は話が違った、ということも。やはり、自分で主体的に会社や仕事を選んでいないと、後で不満が生じやすい、という面はあるかと思います。しかも、紹介転職の場合、入社してから「どうも合わない」となっても、紹介者の手前、すぐに辞めるとは言い出しにくいものです。

「紹介転職」でうまくいく人、失敗する人

 では、紹介転職でうまくいく人はどのような人なのでしょうか。

 それは、通常の転職と同様、しっかりとしたキャリアプランを持って主体的に仕事を選ぶことができる人です。

 将来的にどんな仕事をやっていきたいのか、そのために転職先ではどんな仕事をしてどんな経験を積みたいのか、といったことがある程度見えていて、たまたま声をかけられた仕事がその条件にマッチしていた、という形が理想です。そこまでいかなくても、仕事に関して自分なりの条件や軸など、譲れないところがあり、入社するかどうかの判断材料をしっかりと持っていることが重要です。

 「今の仕事もつまらないし、なんとなくくすぶっているのも嫌だから…」と、知人に誘われるまま安易に転職をすると、どこかに「自分で選んだ仕事ではないし」「誘われたからこの仕事に就いただけだから」という意識が生まれ、何かうまくいかないことがあると、また嫌になってしまい転職を繰り返す…といったことにもなりかねません。

 「紹介転職こそ主体的に」行うことが、成功のカギなのです。

文/井上佐保子


                  
藤井佐和子

キャリエーラ代表。キャリアアドバイザー。
カメラメーカー、人材エージェントのコンサルタントを経て、2002年に独立、現在は、女性を対象とした、延べ13000人以上の対面キャリアカウンセリング実施、また、ダイバーシティやキャリアをテーマに企業研修、講演を行う。著書に「あなたには、ずっといてほしいと会社で言われるために、いますぐはじめる45のこと」(ディスカバー・トゥエンティワン)など多数。
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