知人に会社や仕事を紹介してもらって転職する「紹介転職」。知人が働いているという安心感もあり、事前に情報を詳しく知ることができる、選考を有利に進めることができるなど、メリットも大きいが、声をかけてもらうためにできることはあるのか。人気キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんにお話を伺った。

「一緒に働きたい」と思われる人になる

 紹介転職というのは、人との縁やタイミングなど、運によるところが大きいですが、やはり声がかかる人は「一緒に働きたいな」と思われる人です。

 そのために一番大切なのは、日々の仕事をきちんとやって、周囲との信頼関係を築いておくこと。あなたの仕事ぶりは誰かが必ず見ているものです。今、一緒に働いている上司や先輩、同僚、あるいは取引先から将来、声がかかる可能性もゼロではありません。たとえ今の仕事や職場に不満があったとしても、まずは目の前の仕事にきちんと取り組み、「一緒に働きたい」と思われる人でいるように努力しましょう。

「彼女に来てもらいたい」「一緒に働くなら彼女がいい」と信頼を得る人はどんな人?(C)PIXTA
「彼女に来てもらいたい」「一緒に働くなら彼女がいい」と信頼を得る人はどんな人?(C)PIXTA

 その上で、おすすめしたいのは、フィールドを広げるために外の世界とつながることです。営業職などでは、「お客様から声がかかって」転職をする、といったケースも珍しくありませんが、内勤でほとんど社外に出ることがない、社外との接点がない、という場合は、勉強会やセミナー、イベント、趣味のサークルなど、積極的に社外のコミュニティに参加してみましょう。

 といっても、黙っていて声がかかることはありません。日頃から自分がやりたいこと、興味のあることをさりげなく周囲に発信しておくことが大切です。

自己紹介、どこまで具体的に言える?

 紹介転職で声をかけてもらうためには、自分について周囲に知らせる発信力が必要です。支障のない範囲で「転職に興味を持っている」ことを周囲に伝えると同時に、今の自分の仕事についても、きちんと知ってもらうようにします。「どんな仕事をやっているの?」と聞かれたら、「単なるOLです」と答えるのではなく、どのような会社なのか、自分はそこでどんな役割を担っているのかを、わかりやすく説明できるようにしておきましょう。

 また、日々イキイキと働いている様子や仕事へのこだわり、自分なりの工夫について話すなど、仕事に取り組む姿勢をさりげなく伝えていけると良いでしょう。

 ただ、発信する内容が、自分の職場や身の回りのことだけでは、どうしても話す相手が限られてきてしまいます。社外のコミュニティに参加し、フィールドを広げていくためには、広い視野をもって、社会の課題について自分なりの考えを持ち、きちんと伝えられるようにしていきたいものです。

 「社会課題とか興味がなくて、なにを話していいかわからない」という人には、いつも自分が読まないようなジャンルのニュース記事に、意識的に目を通してみることをお勧めしています。最近はスマホでWEBニュースの記事を読む人が多いかとは思いますが、どうしても自分の興味のある記事ばかりに目が行きがちです。WEBニュースでも新聞でも、あえて普段読むものとは異なるジャンルの記事に目を通し、その中から面白い記事を見つけて、その感想を伝えるようなところから始めてみましょう。