「専門性というのは40代くらいでようやく身に付くものかな」などとのんびり構えている人がいますが、さまざまなライフイベントによるキャリア中断が予想される女性こそ、20代のうちにある程度の「専門性」を身に付け、実績を残しておくことが、その後のキャリアの幅を広げることにつながります。

 ちなみに、「専門性」よりも獲得しにくく、レア度が高いのが「経験」です。「経験」というのは、基本的に同じものはなく、ある程度、時間がかかるものでもあるので、30代は「専門性」にプラスして「どんな経験を積んできたか」が勝負となります。そして、40代になると、「専門性」「経験」に加えて、それまでに築いてきた人脈、信頼関係が価値を持つようになってきます。

 つまり、アラサーである読者の皆さんは、自分のキャリア設計を考えていく上で、まず20代に身に付けた「専門性」をあぶりだし、その上で、その「専門性」にどのような「経験」を加えて「レア度」を高めていけばいいのかを考えればいいというわけです。

「職務経歴書」を書いて専門性をあぶり出す

 では、「専門性」をあぶり出すためにはどうすればいいのでしょうか。「自分が今やっている仕事の専門性って何だろう?」とぼんやり考えるだけでは、「専門性」は見えてきません。

 おすすめしたいのは、転職活動では必須の提出書類である「職務経歴書」を書いてみることです。職務経歴書を書こうとすると、自分はこれまでどんな仕事をしてきたのか、自分の業務を見直すことになります。その過程で「専門性」をあぶり出していくことができるというわけです。

 「私の仕事は単なる事務職で、専門性なんてなにもない」という人も、まずは細かく自分の仕事を書き出してみてください。例えば、「迅速に会議資料のコピー取りをする」という仕事があります。これはこれで重要な仕事ではありますが、職務経歴書に書ける仕事ではありません。しかし、同じ事務でも「海外送金の経理処理を行っていた」「営業企画部でプレゼン資料作りを担当した」などといったものであれば、職務経歴書に書くことができます。

 職歴の長いアラサー世代であれば、「専門性」だけでなく、直接職種にひもづかない「経験」も見ていきたいものです。日本のメーカーに勤務しているのであれば、まずは日本の製造業での「業界経験」があるということになりますし、新人の教育担当をやった経験があれば、それは立派な「教育担当の経験」として書くことができます。

何気なくやっている仕事の中にも、「市場価値」を高める経験が転がっています (C)PIXTA
何気なくやっている仕事の中にも、「市場価値」を高める経験が転がっています (C)PIXTA