キャリアに関するさまざまな「不安」に駆られて転職を繰り返しがちなゆとり世代。「そんなゆとり世代が転職の際にはまりやすいワナがある」と、自身もゆとり世代の社会学者・福島創太さんはいいます。ゆとり世代(※1)のキャリア観について考察した「ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか? ―キャリア思考と自己責任の罠」の著者であり、自身も29歳のゆとり世代である福島創太さんに、ゆとり世代の転職で意識すべきことを聞きました。

(※1)ゆとり世代の明確の定義はないが、このコラムでは福島氏の著書に倣い、1987年生まれ~2004年生まれの世代をイメージしている。

「やりたいこと」転職のリスク

 「ずっとこのままでいいのか」「やりたいことが見つからないままでいいのか」という「ここではないどこかへ系」の不安、「この会社にいていいのか」「人材としての価値を高められているのか」という「意識高い系」の不安、そして「子育てと仕事の両立ができるのか」「やりがいのある仕事ができるのか」というフリーランス志望女子の不安……。

 転職市場が活況にあることもあり、キャリアに関するさまざまな「不安」に駆られて、20代のうちに転職を繰り返すゆとり世代も少なくありません。もちろん、よりよい条件で働くために、やりたいことを実現するために、ステップアップするために、転職という道を選ぶことは、基本的には前向きな選択であり、メリットもあります。

 しかし、転職によるデメリットも冷静に検討してみてほしい、というのが福島さんの主張です。

 「度重なる転職あるいはフリーランスとして独立することには、当たり前のように享受できていたものが得られないリスクもあります。若い世代にとって一番大きなリスクとは、『スキル形成のチャンスを失うリスク』です

その転職、その独立、メリットとデメリットの両方を検討してください (C) PIXTA

 会社で仕事をしていると、やりたくない仕事をやらされることもあれば、面倒な新人育成を任されることもあります。ですが、それは会社から提供される貴重なスキル形成の機会でもあります。専門知識を身に付けたり、できそうにないと思っていた目標を達成したり、部下育成の経験を積んだり、専門資格を取得したりなど、ある程度雇用が守られたなかでさまざまな形でスキル形成の機会が得られる上、研修機会を得られ、先輩や上司の指導、サポートも受けられるというわけです。

 しかし、若いうちに転職を繰り返すと、こうしたスキル形成にじっくり時間をかけることができなくなり、スキルがしっかりと身に付かない可能性があります」