新しい業種、職種の仕事に挑戦する際は、今の自分の強みに軸足を残しつつ、片足を今後強くしたい部分に少しずつずらしていくようにするのです。例えば、これまでメーカーの営業をやっていたのだとしたら、営業職という軸足は残しつつ、ITの営業に挑戦してみる、といった具合です。

 「ピボットする」際は、自分の軸となる強みがマーケットで価値を持っている間にずらしていくのがポイントです。

 どんな仕事にもライフサイクルがあり、強みとなる仕事の価値も時間とともに少しずつ変化していきます。自分の軸となる強みが生かせるだけでなく、新しい会社でさらなる強みが身に付けられそうな仕事を選びましょう。

今の仕事の価値も時間とともに変わっていくのです (C)PIXTA
今の仕事の価値も時間とともに変わっていくのです (C)PIXTA

 自分がその会社で活躍できるかどうかは、転職エージェントや採用担当者にこんな質問を投げかけてみると、イメージしやすいかと思います。

◆どんな人物を求めていて、どんな活躍を期待しているのか?
◆今一番、社内で活躍し、評価されている人はどんな人物か? なぜ活躍しているのか?
◆自分と同じように中途で入った人で、今活躍している人はいるか。その人はどんな社内パスを経て、どんな業務を担当しているのか。

 これらに対する答えを聞いて、自分が社内で活躍できそうなイメージが持てれば、転職後も活躍でき、スキルアップできる可能性が高いといえます。

 転職先の会社を選ぶ際は、

1.伸びている会社
2.自分が活躍できそうな会社
3.働きやすい会社

の3つに着目して考えるといいと思います。

 上の1と2に当てはまる会社は「うまくいっている会社」なので、長期的に見ると(3)の条件もそろってくる可能性が高いです。ですが、そのあたりは会社の成長段階や経営者の方針などによってもさまざまですので、自分自身が求める「働きやすい会社の条件」をきちんと整理しておくといいでしょう。

文/井上佐保子 写真/PIXTA

この人に聞きました
北野唯我
北野唯我(きたのゆいが)さん
ワンキャリア最高戦略責任者。神戸大学経営学部卒業。博報堂、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ハイクラス層を対象にした人材ポータルサイトを運営するワンキャリアに参画。サイト編集長としてコラム執筆や対談、企業現場の取材を行う。テレビやラジオのほか、日本経済新聞やプレジデント、東洋経済などのビジネス誌を中心に「職業人生の設計」の専門家として活躍。著書「転職の思考法」(ダイヤモンド社)は10万部越えのヒット。