後任が決まらなかったため、翔子さんは社内にも取引先に対しても引き継ぎや挨拶ができずにいました。結局、退職する1週間前にようやく後任が決まり、部署の同僚たちにそのとき初めて退職の件がアナウンスされる、という事態に。
「引き継ぎの準備はしていたので1週間でなんとかなりましたが、有給消化はもちろんできませんでしたし、入社の準備もできずにバタバタと転職することになってしまいました」
転職でやりたいことを明確に
退職時に後任が見つからないために引き継ぎがうまくできなかったり、慰留されなかなか辞められなかったり、といったトラブルは転職の際にままあることのようです。
ただ、法務審査を行う今の職場では、営業部とのやりとりが多く、翔子さんは「前職で、短い期間でしたが営業の仕事を経験したことが、今の仕事の上でとても役に立っているので、無駄ではなかったと思っています」と話します。
転職後、法律関係のさまざまな資格を取得し、専門分野を深めていきたいと、いきいきと語る翔子さん。最近、同僚からの紹介で新しい彼氏もできたそうで、充実した生活を送っている様子がこちらにも伝わってきました。
「ただ、『今の会社を辞めたい。なんでもいいから他の仕事がしたい』というのではなく、自分が何をやりたいかを明確にできたところで、転職をすることをおすすめします。私の場合は、ほとんど求人もなく、未経験ではありましたが、『法務の仕事をやりたい』ということを軸に活動をしたことで希望が通りました。何をやりたいかが明確にできていれば、転職に早いも遅いもないのではと思います」
文/井上佐保子 写真/PIXTA