お試し副業をすすめる理由

 転職もその一つですが、もっと気軽にできるのが今注目されている副業です。副業というのは、本来、経済的なプラスアルファを望むよりも、やったことのない仕事を試してみたり、自分のキャリアに新しい掛け算を取り入れたりするために使ったほうがいいのではないかと思っています。

 もしも「ライター」という仕事に興味があるのなら、副業としてライターを始めてみるのです。やってみたら、向いているか向いてないかも分かりますし、やってみた上で「この仕事好きだな」と思うなら、継続して続けてみればいい。1000円でも2000円でも稼げればいいですし、お金がもらえなかったとしても1年くらい続ければ、その実績は転職活動のときにアピールすることができます。そう考えると、副業は、自分がやりたいこと、自分がやってみたい仕事を探し、そこに近づくための手段の一つともいえると思います。

 とはいえ、副業OKの会社はまだ多くはありません。その場合は、プロボノなどのボランティア活動に参加するというのもいいでしょう。今はインターネットで探せば、1日程度から気軽に参加できるさまざまな活動が出てきます。そうした活動を通して、自分のやりたいことを探ったり、興味関心を広げてみたりするという方法もあるかと思います。

自分の「好き」を仕事にするには

 「自分の『好き』で『得意』なことが分からない」「自分の『好き』を仕事にしたいけれど、どうしたらいいのか分からない」といった相談もよく受けます。自分の「好き」「得意」が生かせるマーケットを探すためにはどうすればいいのでしょうか。

 私は「世界の中で、自分にとって解像度の高いものを見つける」ことをお勧めしています。自分の趣味や好きなものについて思い浮かべてみてください。

 例えば、あなたが大の「日本酒」好きで、日本各地の希少な日本酒を求めて旅行することを趣味としていたとしたら、あまり詳しくない人が全国的に有名な日本酒を「おいしいよね」と言っているのを聞いて、「ちょっと待って。日本には全国津々浦々、いろんな蔵元があるのよ。そのお酒よりも……」などと思わず力説してしまう、といったことがあると思うのです。日本酒が好きだから、他の人よりも詳しいし、味の細かな違いにも敏感で、その魅力を熱く語ることができる。つまり日本酒に対して「解像度が高い」というわけです。