新卒で入った会社で配属されたのは、残業続きで、休みを取るのもままならない店舗での販売職。好きで入った会社ではあったけれど、体調も崩しがちになり、もう限界……。「とにかく土日休めて、普通の時間に帰れる仕事に就きたくて」、麻衣さん(仮名・30歳)は好きだった仕事を辞める決意をする。

 ここまでの話は、前編で →「好きで入った会社だけど続けられない 29歳の転職

失われた「ライフ」を取り戻す

 麻衣さんは退職届を提出したが、別の店舗への異動を提案されるなど、引き止められて1カ月ほどは受理されなかったという。「人事の担当者は、親身になって話を聞いてくれたのですが、本社勤務を希望していたことを伝えても『システム部なら空きがあるけど?』などといった気のない答えが返ってきまして……。会社への気持ちが一気に冷めてしまいました」。

 転職先を決めることなく、会社を辞めた後は、そのままのんびりと好きなときに寝て好きなときに起きる生活を送った。

 「今までは忙し過ぎてお金を使う機会もなく、貯金も結構あったので、旅行したり、友達と会ったり、お料理教室に通ってみたり、やりたかったことを思い切りやりました。ワークライフバランスが極端に悪く、ワークだけやっていたので、ライフだけに重点を置いて過ごしてみた感じです(笑)」

とにかく、「ライフ」を取り戻そう 写真はイメージ (C) PIXTA

 半年ほどたち、健康を取り戻した麻衣さんは、そろそろ働こうかと、知人から紹介された短期契約の仕事を始めた。

 「事務の仕事は初めてだったのですが、実際やってみると、『私、販売以外の仕事もできるんだな』と自信がつきました。残業はないし、土日はあるし、ずっと長く休んでいたことが気掛かりでしたが、これなら働けそうだなと思いました」

 半年ほど働き、契約が切れたところで辞め、事務職として働くことを決めた。

 「またハードに働いて体を壊すのは嫌だったので、仕事探しの条件は、残業がなく、土日が休めて、勤務地が近く、できれば興味の持てる業種がいいな……と。正社員にこだわらず、契約や派遣でもいいと探したが、なかなかぴったりの求人が見つかりませんでした」

 そうした中、出版社の事務職の仕事が目に留まり、応募するとすぐ採用となった。「よほど人手がなくて困っていたみたいで、明日からすぐ来てほしいと言われました」