転職成功のカギは「数字」を持っていること

 有里さんは再び転職エージェントに登録。「紙、ウェブどちらかの編集職」「生活を安定させて今度こそ長く働きたい」というのが転職にあたっての希望だった。エージェントからはウェブコンテンツ編集の仕事をいくつか紹介された。そのうちの一つが、現在働いている会社だ。

 「自社サービスのウェブサイトの編集、運営ディレクション業務ということなので、しっかり企画から制作、さらにはSEO管理、サイト立ち上げのスキルなども学べるのではないか、と思って応募しました」

 当初の求人内容は「契約社員」だった。ところが、面接の途中から「正社員」に切り替えて選考が進むことになったという。

 「実は、転職活動と並行して、前職で営業目標を達成したことが高く評価されて、給料が上がることが決まったんです。さらに、部署異動も決まり……転職面談でそのことを素直に話したら、逆に『正社員でいかがですか?』と提案されました」

 営業実績ばかりを重視する会社の方針に納得できなかった有里さんだったが、転職の際には、営業実績や給料の額といった、自分が持っている「数字」が強みとなった。

 「給料も、前職で提示された額より多く頂けたら……と伝えてみたら、結局、前職で上がるはずだった給料よりもさらにアップしました」

正社員になれて年収もアップするとは思いませんでした (C) PIXTA
正社員になれて年収もアップするとは思いませんでした (C) PIXTA

 転職から半年。まだ慣れないところもあるが、休みがきちんと取れたり、福利厚生がしっかりしていたり、大手ならではの安心感があるという。かつて「就活への違和感から就職活動をしなかった」有里さんは、「長く働けそうな気がして、最近、念願の一人暮らしを始めました」と笑顔で話してくれた。

文/井上佐保子 写真/PIXTA