超就職氷河期の就活で

 里香さんが就職活動をしたのは2010年のこと。リーマンショック後の「超就職氷河期」といわれる時期で、多くの企業が採用数を減らしていただけでなく、採用活動そのものを停止する企業もあったため、就活生たちにはかなりの危機感が漂っていました。

 里香さんも、当時を振り返ると「就職できないかもしれない、という不安しかなかった」と話します。

 「どこでも就職できればいい」という思いで、入社したのは自動車の販売会社でした。車を運転して旅行することが好きだったこともあり、「好きな自動車の会社なら嫌にならずに働けるかも」と思ったのだそうです。

アナログ過ぎる職場 このままでいいのだろうか

 新卒で入社した自動車販売会社で、支店に配属となり、営業職のアシスタント業務を行う事務職として働くこととなった里香さんは、そこで驚愕の実態を目にすることとなりました。

 それはなんと「事務のすべてを手作業でこなす、アナログな職場だった」ということ。「売上の計算もパソコンは使わず、電卓で計算し、紙に手書きで記入します。パソコンは1台だけあったのですが、それは本社のデータベースに入力するためだけのものなので、プリンタにもつながっておらず、もちろんワード、エクセル、パワーポイントなどのソフトも入っていませんでした。ちなみにメールも無いので、連絡手段はファックスと電話です。職場では毎日、誤記や計算間違いによるミスが頻発していました」

 社内ではそれが普通なので、あまり疑問に思っている人はいなかったそうですが、里香さんはあまりの非効率さに「パソコンのスキルが身についていなければ、転職もできない。そうしたら一生ここでしか働けない人になってしまうのではないか…」と一人危機感を募らせていました。

 また、休みが取りづらい、ということも、旅行が趣味だった里香さんには不満でした。支店の休業日は年末の3日間だけ。月に8日ほど休みはありましたが、連続して2日休むことはできなかったそうです。

職場は超アナログで非効率な仕事のやり方、おまけに休みも少ない。さらに……(C)PIXTA
職場は超アナログで非効率な仕事のやり方、おまけに休みも少ない。さらに……(C)PIXTA

 さらに、会社に対して不信感を抱く出来事がありました。