実際、「転職したいという気持ちだけで本当に相談に行っていいんですか?」と尋ねてみると、今回取材した大手エージェント3社はどこも「漠然とした状態でも結構ですので、気軽に相談にいらしてください」との回答。

 「『今の仕事じゃないと思うんです』と相談にいらしてから、1年近くかけてじっくり仕事の棚卸しをして適職を見つけた方もいらっしゃいますよ」(マイナビの野澤綾子さん)とのこと。

適性テストとアンケートで自分を見える化してくれる

 具体的にはどのようなキャリアカウンセリングが受けられるのだろうか。

 「アラサー女性の場合、『結婚後、出産後も長く働き続けるために、なにか専門性が必要かなと思って』と、将来を考えて、漠然と専門的なスキルが身につく職種に転職したい、といった希望を持った方が多く相談にいらっしゃいます。

 ただ、そのままお話を伺うだけでは、具体的な話になりにくいので、弊社ではカウンセリングの前に、職務適性と仕事の仕方についてアンケートを記入していただき、それも合わせてお話しさせていただきます」と話すのは、人材紹介サービス エン エージェントのコンサルタント磯村舞さん。

 どんな職業適性を持っているのか、今の状態のどこに課題を感じているのか、どんな仕事のやり方をするタイプなのかなどを面談前のアンケートで見える化することで、履歴書、職務経歴書だけでは見えない部分が見えてくるという。
 
 カウンセリングは通常1時間半程度。まずはじっくりと求職者の話を聞く。

 「ヒヤリングして希望をうかがうと、総合職に向いているような適性を持っているのに一般事務を希望しているなど、希望と適性が違っている人も多いのです。そこで診断結果などもお渡ししてフィードバックをしつつ、求人情報をご紹介していきます」

「もやもや」だけでの相談もOK

 「相談に来られる30代前後の女性の中には、はっきりと転職を希望される方もいらっしゃいますが、なんとなく新卒入社した今の会社で長く働き続けるイメージが持てないのだけど、どうしたらいいのかわからない、など、もやもやとした不安だけでいらっしゃる方もいます」と話すのはリクルートキャリアでキャリアアドバイザーを務める佐藤季子さんだ。

まだモヤモヤしているんです。そんな状態でも相談に行っていいですか?(C)PIXTA
まだモヤモヤしているんです。そんな状態でも相談に行っていいですか?(C)PIXTA

 「そんな『もやもや』とした気持ちを持ちつつ、インターネット上で求人情報を眺めていても、なかなか未来のリアルな姿を描けないことは多いかと思います。私たちキャリアアドバイザーは、そんな方へ、一歩前に進む「きっかけ」をつかんでいただければと思って、いつもご支援しています。まずは一度ご相談いただき、対話をする中で『転職活動をしてみよう』という気持ちが強くなってから、動き出していただいてもいいのです」