非正規でも病気や失業へのサポートはある

 一方で、仕事ができなくなったり、辞めたりしたときの公的なサポート体制は、正社員か非正規かにかかわらず、基本的に同じです。

 病気やケガで仕事を4日以上休んだときには、「傷病手当金」といって、お給料を日割りした金額の3分の2を、休んだ日数分、最長で1年6カ月間受け取ることができます(仕事を休み始めた最初の3日分を除く)。傷病手当金は健康保険の制度です。健康保険は、非正規であっても所定労働時間が週に30時間以上、あるいは週20時間以上でかつ月収8万8000円、大企業に勤めているなどの要件を満たすと加入することになっていますし、今年の4月からは中小企業であっても、労使の合意があれば加入できることになりました。つまり、フルタイムに近い働き方をすれば、非正規でも健康保険に加入しますから、もし病気やケガで仕事を休んでしまったら、傷病手当金を受けることができます。

 また、仕事を辞めた後に次の仕事を探すときには、雇用保険から「基本手当」と呼ばれる失業給付を受けることができます。ハローワークに行って手続きをし、「失業の状態」にあると認められると、在職中のお給料を日割りした金額の50~80%(これを「基本手当日額」といいます)を、90~360日の間受け取ることができます。基本手当日額は在職中の給与額、受け取れる日数は年齢や勤続期間などによって異なります。

 ただし、傷病手当金、失業給付のいずれも、短期間の非正規では対象にならないことがあります。所定労働時間が20時間から30時間の場合、健康保険に加入するには「勤務期間が1年以上の見込み」であることが要件になっています。雇用されるときに決める契約期間が短いと、健康保険に加入できません。また、雇用保険の失業給付を受けるには、仕事を辞める前の2年間に、通算して12カ月以上、雇用保険に加入していることが要件です(※2)

 いざというときのことを考えると、ワークスタイルにかかわらず、1年以上働くことが大事といえます。

※2 自己都合での退職の場合