病気やケガで休んだときには「傷病手当金」がある

 もしも病気やケガなどで、仕事ができなくなったら、どうなるのでしょうか? お勤めの方には有給休暇がありますから、残日数分はお休みをしてもお給料を受け取れます。

 しかし有給休暇を消化しきってしまうと、それ以上は欠勤扱いになり、お給料をカットされることになります。新入社員の場合、入社から半年間は有給休暇がない企業が多く、今はまだない人も少なくないでしょう。

 そんなときに、医療費の出費やお給料のダウンといった経済的な負担をカバーするしくみには、おもに、公的な健康保険と、民間の保険の二つがあります。

 公的な健康保険は、お勤め先を通して加入するものです。保険料はお勤め先と従業員が折半で負担し、うち従業員分はお給料から天引きされます。この保険料を支払うことによって、もし病気やケガをして病院に行ったときには、窓口で保険証を提示すると、医療費の自己負担が3割になります。

 健康保険には、ほかにも「傷病手当金」の制度があります。これは、前回の記事「女性は一生でいくら稼げる? 人生設計は長い目で見て」でもご紹介したように、病気やケガで仕事を4日以上休んだとき、お給料を日割りした金額のおおよそ3分の2を、休んだ日数分(仕事を休み始めた最初の3日分を除く)、最長で1年6カ月間受け取れるものです。

 傷病手当金は、会社を休んでも有給休暇を使ってお給料をフルに受け取れる場合には支給されません。会社から支給されるお給料が、月収を日割りした金額のおおよそ3分の2を割ると、支給の対象になります。つまり、病気やケガで仕事を休んでも、収入が3分の2より低い水準にはならないということです(※)

※ 月収には「標準報酬額」を用い、その日割りで計算します。また、仕事を休み始めた最初の3日分は支給対象になりませんので、厳密に月収の3分の2の金額が保証されるわけではありません。