ブランクが長引くならさらなる出費も要注意

 万が一、会社を辞めた後の転職活動が長引くと、会社員時代にはなかった出費も負担になります。例えば社会保険。会社員のときは厚生年金と健康保険に加入し、保険料の半分は会社が負担し、自己負担分は天引きされています。

 しかし、退職すると年金は国民年金になり、健康保険は今の会社の健康保険で任意継続するか、お住まいの市区町村の国民健康保険に加入するかになります。いずれも、保険料の全額を自分で払うことになります。

 会社員時代にも支払っていますが、天引きされていると家計のやりくり上で意識することはあまりないかもしれません。いざ自分で払うとなると、その負担が重くのしかかります。

 負担額は、国民年金が月1万6490円(平成29年度)、健康保険は任意継続にするか国民健康保険にするか、退職前の収入といった条件によって異なりますが、例えば月収20万円で任意継続の場合には月に約2万円になります。

 また、住民税も要注意です。会社員の住民税は天引きで納めるのが一般的ですが、そもそも新卒の人はほとんどの場合、1年目には住民税を払っていません。前年の所得に応じて課税されるためです。

 もし、1年目に会社員で、翌年に無職になった場合、前年の所得に応じた税を翌年に自分で払わねばなりません。お住まいの地域など諸条件によって異なりますが、月収が20万円の人で、年間で10万円近い負担になることもあります。

 さらに忘れてはいけないのが、交通費です。通勤経路内なら、会社から通勤手当が出ていますが、退職すれば全額が自己負担になります。1日当たりはそれほど大きくなくても、転職活動が長引けば、無視できない出費になる恐れもあります。

 以上のように、転職までにブランクが生じるリスクや、その間の税・社会保険などの負担を考えると、少なくとも約4カ月分の生活費、プラスアルファを含めておよそ6カ月分の生活費は、貯蓄で用意しておきたいものです。